Smart Lab Life

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第3回 変化を促進する米国流研究システム

変化に対する苦痛・恐怖を克服する(2008年3月号)のOnline Supplement Material

本誌連載 第3回「変化に対する苦痛・恐怖を克服する」では,「変化を促進するシステム」としての米国のアカデミック・キャリアパスを例に挙げていただきました.今回のOnline Supplement Materialでは,具体例としてのNIH(米国国立衛生研究所)で実施されているグラント(助成金)を,ご紹介いただきます.(編集部)

徹底的な変化を奨励するグラント

研究者はPIとして独立すると自分のユニークな専門性を確立することに専心する.そして,一般的には自分の研究成果や業績の上に新たな業績を徐々に打ち立て,自らのプロフェッショナルとしての専門性を深めていく.このように段階的に一歩一歩プロジェクトを進めていく逐次的(incremental)なアプローチは成功率が高いと考えられ,政府からのグラントを得やすい傾向にあった(政府は税金を無駄にしないため,成功率の高い研究に投資するのはやむをえない面がある).しかし,大きなイノベーション(革新)につながるような研究は逐次的なアプローチだけでは生まれない懸念がある.そこで,大きなイノベーションをめざし,米国政府(NIH)は研究者に徹底的な変化を推奨するNIH Director's Pioneer Award(to wwwhttps://commonfund.nih.gov/pioneer)を最近導入している.

incremental

このグラントに応募するための最も重要な条件が:

  • the proposed research must reflect ideas substantially different from those already being pursued in the investigator's laboratory or elsewhere.
    • (自分も含めて誰も過去に探求したことのないようなアイデアに基づく研究)

とあり,これも「変化」をもたらす創造的な断続性のシステムの1つと考えられる.

プロフェッショナル根性論 目次

第1回 強みとは (2017/10/31公開)

第2回 自分のキャパシティーを見極める (2017/11/07公開)

第3回 変化を促進する米国流研究システム (2017/11/14公開)

第4回 科学の世界に物語力は必要か?

第5回 フィードバックがもたらす利益と損失

第6回 人生のプライオリティーを決める

第7回 ブログをはじめるにあたって

第8回 耳から入る洋書読破術

第9回 心に残るプレゼンテーション

第10回 創造性とは

本連載を元に,『やるべきことが見えてくる研究者の仕事術』が単行本化されています.もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください.

著者プロフィール

島岡 要(Motomu Shimaoka)
大阪大学卒業後10年余り麻酔・集中治療部医師として敗血症の治療に従事.Harvard大学への留学を期に,非常に迷った末に臨床医より基礎研究者に転身.Mid-life Crisisと厄年の影響をうけて,Harvard Extension Schoolで研究者のキャリアパスについて学ぶ.現在はPIとしてNIHよりグラントを得て独立したラボを運営する.専門は細胞接着と炎症.(執筆時のプロフィールとなります.)

ブログ:to www「ハーバード大学医学部留学・独立日記」A Roadmap to Professional Scientist

島岡 要 先生の本

  • やるべきことが見えてくる研究者の仕事術
  • 研究者の英語術
  • 研究者のための思考法 10のヒント
  • 行動しながら考えよう 研究者の問題解決術

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