実験医学 2007年9月号 Vol.25 No.14

微小環境からみる新たな癌の姿

癌の低酸素バイオロジー

鍵分子HIFから,低酸素応答に基づくイメージング・創薬開発まで

  • 井上正宏/企画
  • 2007年08月20日発行
  • B5判
  • 115ページ
  • ISBN 978-4-7581-0027-4
  • 定価:1,800円+税
  • 在庫:なし
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《企画者のことば》癌と低酸素の関係は古くから多くの研究者が取り組んできた課題である.転写因子HIFの発見を境に低酸素の細胞応答に関する研究は飛躍的に進歩し,癌研究の領域でも低酸素応答の重要性が再認識されるようになった.本特集ではHIFを中心とする低酸素応答の分子メカニズムから,それを応用したイメージング・低酸素標的創薬まで,広く癌における低酸素研究を紹介する.

癌の成立と進展に深くかかわる低酸素環境について,HIFを巡る低酸素応答・癌の生存戦略としての翻訳抑制・癌幹細胞との関連などの分子機構から,環境標的を用いたイメージング・創薬など臨床応用の最先端まで.

目次

特集

微小環境からみる新たな癌の姿
癌の低酸素バイオロジー
鍵分子HIFから,低酸素応答に基づくイメージング・創薬開発まで
企画/井上正宏
概論〜癌と低酸素〜その密接な関係から臨床応用を探る【井上正宏】
癌と低酸素の関係は古くから多くの研究者が取り組んできた課題である.転写因子HIFの発見を境に低酸素の細胞応答に関する研究は飛躍的に進歩し,癌研究の領域でも低酸素応答の重要性が再認識されるようになった.本特集ではHIFを中心とする低酸素応答の分子メカニズムから,それを応用したイメージング・低酸素標的創薬まで,広く癌における低酸素研究を紹介する.
細胞の低酸素応答機構〜低酸素センサーをめぐる論争【広田喜一】
酸素は,ネズミを長命に保つことのできる「脱フロギストン空気」として18世紀にJoseph Priestleyによって記述され,当初から生命の維持に重要な役割を果たす物質と考えられていた.酸素ホメオスタシスの破綻は,今やほとんどすべての疾患の病態生理の通奏低音として存在する.ホメオスタシスの維持機構の解明はそれゆえ,基礎生物学的な課題であるとともに医学的にも大きな課題である.ここでは,転写因子hypoxia-inducible factor 1をモデル分子に選び低酸素応答のアップデートを低酸素センサーをめぐる議論に力点をおいて概説していく.
HIFのin vivoモデルによる機能解析【山下年晴/大根田 修】
HIF(hypoxia-inducible factor)が,低酸素に応答してさまざまな遺伝子の転写を活性化することは,さまざまな解析によって明らかとなりつつあるが,実際に生体における機能の解析はあまり進んでいない.本稿では,近年急速に発展している遺伝子組換え技術を応用した解析により,明らかになった生体におけるHIFの機能を紹介する.
癌の低酸素応答—生存戦略としての翻訳抑制【井上正宏】
癌細胞は低酸素に適応した細胞である.癌細胞は分裂・増殖を特徴とするが,強い低酸素下では正常細胞と比較してむしろ効率よく細胞活動を低下させることができる.タンパク質の翻訳は最もエネルギーを消費する細胞活動の1つであり,低酸素下で速やかに抑制される.抑制にはmTORシグナルの低下と小胞体ストレス応答が中心的な働きをしている.低酸素下で癌細胞が生存するために,翻訳の抑制は必要である.
低酸素によるStemnessの維持と脱分化の誘導【竹永啓三】
低酸素が幹細胞ニッチの重要な要素であり,胚性幹細胞や組織幹細胞の自己複製能や分化能に影響し,「幹細胞らしさ(stemness)」の維持に重要であることが明らかになっている.一方,低酸素により癌細胞の脱分化が起こり,癌幹細胞様の性質を示すようになるという知見が得られてきている.これらの未分化性の維持や誘導にはHIFによるOct-4やNotchシグナル系の制御が密接にかかわっており,これらの分子を標的にした低酸素下癌細胞や癌幹細胞の治療も将来期待される.
環境標的としての低酸素細胞の光イメージング【近藤科江/田中正太郎】
高齢化に伴い増加の一途をたどる本邦の三大死因「癌」「心疾患」「脳血管疾患」の全死因における割合は,1990 年にはすでに61.6%に達している.これらの疾患に共通するキーワードが「低酸素」である.生体内に潜む異常な低酸素状態を確実に,感度よく見つけることができれば,上記三大疾患の早期発見を可能にし,早期治療や,新規治療法の開発に貢献できると考えられる.われわれは,そのようなイメージングプローブの開発をめざし,低酸素条件下で選択的に安定化する融合タンパク質プローブを構築している.
低酸素標的創薬【永澤秀子/小林正伸】
生体内の正常組織においては発達した血管系によって十分な酸素や栄養が供給されているが,腫瘍組織内においては腫瘍新生血管の構造異常や間質圧の上昇などによって低酸素低栄養環境下におかれている.この明らかな相違を利用した癌特異的治療法として,腫瘍低酸素環境を標的とした治療法の開発が積極的に進められている.低酸素特異的転写因子であるHIFを標的とするもの,低酸素環境下で活性化するプロドラッグ,低酸素放射線増感剤などが候補として開発されており,本稿ではその機序や効果について概説する.

トピックス

カレントトピックス
BDNFによるPSD-95の細胞内輸送促進とシナプス形成【吉井 聡】
BCL-2ファミリータンパク質NBK/BIK,BAKはタンパク質合成阻害によるアポトーシスを制御する【嶋津 務/井上正順】
カルパインとSCOPによる長期記憶形成の調節機構【清水貴美子】
分裂酵母に学ぶスピンドル微小管形成のしくみ【戸谷美夏/佐藤政充/登田 隆】
News & Hot Paper Digest
セントロメア特異的ヌクレオソームの新たな非ヒストン構成因子“Scm3”の発見
リボスイッチは真核生物でも遺伝子発現を制御する
ヒトES細胞は上胚盤葉由来幹細胞EpiSCsに相当する
論文2.0:少数の専門家ではなく「みんな」が論文を評価する新しいジャーナルNature Precedings
第66回日本癌学会学術総会のご案内

連載

手抜き実験のすすめ 2★新連載★
第1回 Semi-duplicate(半2連)実験法【福井泰久】
クローズアップ実験法
バイサルファイト法によるDNAメチル化解析の落とし穴【佐々木裕之/熊木健治/小林久人/加藤 譲/平澤竜太郎】
疾患解明Overview
IgA腎症—その成因と病態の解明から新たな治療法を探る【小林則善/富野康日己】
ラボレポート−独立編−
独立して見えてきた研究所の運営システム〜Burnham Institute for Medical Research【松澤秀一】

関連情報

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