リハに役立つ論文の読み方・とらえ方

リハに役立つ論文の読み方・とらえ方

  • 赤坂清和/監,藤本修平,三木貴弘/編
  • 2020年03月19日発行
  • A5判
  • 208ページ
  • ISBN 978-4-7581-0247-6
  • 定価:3,960円(本体3,600円+税)
  • 在庫:あり
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第2章 苦手な統計を少しでも克服しよう!

2 図表の意味とその解釈
1 RCTの図表

山田 実
(筑波大学人間系)

本稿では下記PICO の仮説を検証するためのRCT(仮想データ)に基づき関連する図表について解説する.

RCTの図表

① フローチャート

RCTでは,組み入れから解析に至るまでの対象者の経緯がわかるようフローチャートで示すことが推奨されている.図1を例に説明する.

  • 母集団は400名の高齢者であった.
  • 母集団のうち,今回の対象に該当しないもしくは参加を拒否した高齢者が160名いた.
  • 残りの240 名を対象としてランダムに2 群に分類された.
  • レジスタンス運動群に120 名,バランス運動群に120 名が分類された.
  • レジスタンス運動群では,介入期間中に入院したものが10名,用意したトレーニングセッションの参加率が60%未満となったものが19名いた.同様に,バランス運動群では,入院が12名,低遵守率者が18名であった.
  • ITT(intention to treat)解析の対象は両群ともに120名であり,プロトコールを遵守できたものに対する分析〔PP(per protocol)解析〕の対象はレジスタンス運動群で91名,バランス運動群で90名であった.
図1

② 生存曲線

図2

図やグラフは論文のなかでも目に留まりやすいものであり,結果を解釈するうえで重要な役割を果たす.図2に示した生存曲線※1だけでなく,棒グラフ,折れ線グラフ,円グラフはそれぞれ特徴があり,いずれも直感的に結果を理解するのに役立つ.図2は,レジスタンス運動群とバランス運動群で,介入終了後の要介護状態の発生割合に差があることを示している.

① 基本属性の表

表1

基本属性を示す表は,対象者の特性を把握するうえで重要である.人口統計学的データだけでなく,結果に影響を及ぼしうるような臨床特性が示される.表1に一例を示し,これをもとに説明する.

  • 各群それぞれの情報が記載されていることを確認する.平均値と標準偏差,中央値と四分位範囲,人数と割合などが示されるのが一般的である.
  • 年齢,身長,体重,B M I,性別といった情報は最も基本的であり,バックグラウンドの理解に不可欠である.
  • 結果に関連しうる疾病情報も確認する.なお,状況に応じて服薬情報や各種検査値などが記載されることもある.

② 結果の表(ITT解析)

表2

介入効果を示す表には,ベースライン時の値と介入後の値もしくは変化量,それに群間差を示す分析結果を示すことが一般的である.表2に一例を示し,これをもとに説明する.

  • ITT解析は,脱落やプロトコールの非遵守にかかわらず割付に従い分析を行う方法のことである.より実臨床に近い結果が得られることから,RCTを行う際に推奨される分析方法である.
  • ベースラインの値と介入後の値がそれぞれ記載されている.場合によっては変化量などの値が示されることもある.
  • 時間(介入前後)の主効果が示されている.ここで示した研究のように,いずれの群も何らかの介入を行っている場合には,両群間の効果に差はなくとも,両群ともに介入前後で主効果が有意であるかを確認する.
  • 交互作用の結果を示している.両群の効果に差があるかどうかは,この交互作用が重要であり,有意な交互作用を認めた場合には両群間の効果に差があると判断する.
  • 各項目の値,ならびにその指標の単位も確認する.

③ 結果の表(PP解析)

表3

ITT解析の結果と同様であるが,ここではPP解析の結果を示す.ITTでは脱落やプロトコールの非遵守なども考慮せず割付に従い分析を行うことから,効果を過小評価しやすいというデメリットがある.一方でPP解析は,プロトコールに遵守した対象のみで分析するため,介入内容の純粋な効果を検証しやすい.ただしその反面,PP解析で得られた結果は,ITTで得られた結果よりも実臨床からは遠ざかることになるため解釈は慎重に行う必要がある.表3で示したPP解析の結果は,表2とITT解析の結果と同様の傾向を示しているため,今回の例では2つの解析結果に相違がないことがわかる.

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