実験医学増刊 Vol.25 No.13

脳神経疾患の分子病態と治療への展開

アルツハイマー病,パーキンソン病,発達障害,精神疾患などの発症メカニズムを分子から解く

  • 貫名信行,西川 徹/編
  • 2007年07月20日発行
  • B5判
  • 218ページ
  • ISBN 978-4-7581-0284-1
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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アルツハイマー病,パーキンソン病,精神疾患など,社会的関心も高くますます注目される脳神経疾患研究の最新レビュー集!病態メカニズム解明へ向けた分子レベルからの最新知見と治療法開発の現状を詳しく紹介!

目次

概論:脳神経疾患研究の成果と課題【貫名信行,西川 徹】

  • 神経疾患:解明される分子メカニズム-病態に基づく治療へ
  • 発達障害・精神疾患:分子メカニズム解明と新規治療法開発への挑戦

第1章 アルツハイマー病,認知症の分子病態

1. β切断の機能と調節機構【櫻井 隆】

  • BACE1の構造的特徴
  • BACE1活性の制御機構
  • BACE1の生理的作用
  • AD治療標的としてのBACE1

2. γセクレターゼによる Aβの産生機序【森島真帆】

  • γセクレターゼの構造と機能
  • γセクレターゼによるAβの産生
  • γセクレターゼ阻害剤による治療の可能性

3. ネプリライシンによるAβ分解とアルツハイマー病治療戦略【末元隆寛,斉藤貴志,岩田修永,西道隆臣】

  • アルツハイマー病とAβ
  • Aβ分解を担うネプリライシン
  • アルツハイマー病におけるネプリライシン活性の制御

4. アルツハイマー病とアポリポタンパク質E【道川 誠】

  • ApoEの構造と機能
  • 脳内におけるApoE産生とその制御
  • ApoE遺伝子多型とアルツハイマー病
  • ApoEとアルツハイマー病病理
  • ApoEと認知能力
  • ApoEと脳内コレステロール代謝

5. タウ,プログラニュリン,TDP-43と神経変性【長谷川成人,新井哲明】

  • ADにおけるタウの蓄積
  • FTLDにおけるタウの蓄積と遺伝子変異の発見
  • タウの異常蓄積を認めないFTLD
  • 家族性FTLDにおけるPGRN変異の発見
  • タウ陰性ユビキチン陽性構造物の構成成分の同定
  • TDP-43異常蓄積の広がり-ALSとの関係を中心に
  • FTLD,ALSにおける神経変性機序

第2章 パーキンソン病の分子病態

1. パーキンソン病の分子病態とα-synuclein【岩坪 威,桑原知樹】

  • 家族性パーキンソン病病因遺伝子としてのα-synuclein
  • レビー小体の主要構成成分としてのα-synuclein
  • α-synucleinの構造と機能
  • α-synucleinによる神経障害機構
  • α-synuclein遺伝子導入モデル動物からのアプローチ

2. 黒質神経細胞維持におけるParkinタンパク質の役割【服部信孝】

  • parkin遺伝子変異とシヌクレイノパチーの対比
  • parkin変異の種類とその意義
  • タンパク質分解系とparkin機能
  • parkinの遺伝子改変モデル
  • parkinと他の遺伝子産物との関与

3. パーキンソン病関連遺伝子:PINK1,DJ-1,LRRK2【松井秀彰,高橋良輔】

  • PINK1
  • DJ-1
  • LRRK2

第3章 神経難病の病態トピックス

1. 球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の分子病態と治療法開発 【勝野雅央,足立弘明,田中章景,祖父江 元】

  • 球脊髄性筋萎縮症(SBMA)とは
  • SBMAに対するホルモン療法と臨床応用
  • SBMAにおける軸索輸送障害と病態の可逆性
  • 軸索輸送障害と神経変性

2. オミックス網羅的解析から見えてきたポリグルタミン病の分子機構【岡澤 均】

  • ポリグルタミン病の発見
  • ポリグルタミン病における核機能異常
  • 症状は神経の細胞死によるものか機能障害によるものか?
  • 核病態のオミックス解析
  • 核機能障害から細胞死へ

3. DNA修復の異常と劣性遺伝性失調症【他田正義,横関明男,小野寺 理】

  • DNA損傷とDNA修復
  • SSBRの障害と脊髄小脳変性症

4. 神経筋疾患とRNA代謝異常【紀 嘉浩,貫名信行】

  • RNA代謝と疾患
  • RNAの異常な機能がかかわる疾患
  • スプライシング異常を伴う優性遺伝の疾患

5. ALS研究のトピックス〜非細胞自律性の神経細胞死【山中宏二】

  • 変異SOD1毒性について
  • SOD1変異によるミトコンドリア障害仮説
  • ALSにおける非細胞自律性(non-cell-autonomous)な運動ニューロン死

6. プリオン病の感染・伝搬におけるプリオン仮説の現状【田中元雅】

  • 酵母プリオンによるこれまでのプリオン感染実験
  • 酵母プリオン[PSI]システム
  • [PSI]の系を用いたタンパク質オンリー仮説の証明
  • 酵母プリオン感染実験によるプリオン株の出現
  • 異なる表現型をもつ[PSI]プリオン株出現の分子機構
  • 哺乳動物を用いたプリオン仮説の検証

第4章 発達障害の分子病態

1. 自閉症研究の現状と展望【渡辺慶一郎,桑原 斉,丸井徹也】

  • 自閉症の脳画像研究
  • 自閉症の臨床遺伝
  • 自閉症の動物モデル

2. ゲノム構造異常と精神遅滞-マイクロアレイCGHを用いて【浜之上はるか,松本直通】

  • MRの定義
  • MRにおけるゲノム異常の検出法
  • 染色体微細構造異常に起因するMR
  • X連鎖性遺伝性MR(XLMR)
  • 常染色体由来の単一遺伝子異常に起因するMR

3. Fragile X 症候群とFMRP【有波忠雄】

  • Fragile X症候群の臨床,疫学
  • FMR1遺伝子ファミリーとの系統進化
  • FMRPの機能
  • FMRPと翻訳
  • mRNA輸送
  • FMRPと神経細胞

4. Rett症候群とエピジェネティクス遺伝子発現調節異常【久保田健夫】

  • Rett症候群におけるMECP2遺伝子の変異
  • Rett症候群における他の遺伝的要因
  • MeCP2タンパク質機能の異常とRett症候群の病態

5. 言語機能発達障害〜FOXP2遺伝子を中心として【高橋浩士,高橋 薫】

  • 特異的言語障害
  • FOXP2

第5章 精神疾患の分子病態

1. 統合失調症のゲノム研究【高橋長秀,齋藤真一,尾崎紀夫】

  • 統合失調症と遺伝因子
  • 連鎖解析(linkage study)
  • 関連解析(association study)
  • 今後の展望

2. 双極性障害の神経生物学【加藤忠史】

  • 双極性障害研究の流れ
  • リチウムの薬理学的研究
  • 双極性障害の病態仮説
  • GSK-3β
  • BDNF-ERK系
  • イノシトール系
  • 細胞膜カルシウム輸送
  • グルタミン酸神経伝達
  • ミトコンドリア
  • 小胞体ストレス

3. パニック障害研究の現状と展望【谷井久志,西村幸香,音羽健司,佐々木 司,貝谷久宣,岡崎祐士】

  • パニック障害をわが国で研究する意義について
  • われわれのこれまでの研究結果

4. 外傷後ストレス障害(PTSD)の分子病態メカニズム〜病態モデル動物を用いた解析から【森信 繁,岩本泰行,高橋輝道,小鶴俊郎,山脇成人】

  • 視床下部-下垂体-副腎皮質機能からみたPTSDの病態メカニズム
  • PTSD動物モデルであるSPSからみたPTSD病態メカニズム
  • SPS負荷ラットにみられる恐怖反応亢進の脳内メカニズム
  • 痛覚刺激からみたPTSDの病態メカニズム

5. 薬物依存の分子病態【曽良一郎】

  • 報酬系と薬物依存
  • 依存性薬物の標的分子
  • ストレスと薬物依存
  • 神経可塑性と薬物依存
  • 細胞内情報伝達と薬物依存
  • 薬物依存と遺伝子改変マウスモデル
  • 遺伝的要因と薬物依存

6. てんかん=チャネロパチー?【山川和弘】

  • イオンチャネルをコードするてんかん原因遺伝子
  • 非イオンチャネルタンパク質をコードするてんかん原因遺伝子
  • てんかん=チャネロパチーか?

7. ナルコレプシー(居眠り病)の原因遺伝子研究〜睡眠障害の分子生物学【本多 真】

  • ナルコレプシーの症状と病態
  • ナルコレプシーの生物学的指標
  • 研究の現状と課題
  • 遺伝子発現解析を用いた研究戦略

8. 養育行動とその異常の分子神経機構【黒田公美】

  • げっ歯類養育行動の要素と概要
  • 養育本能の脳内回路と制御中枢
  • 養育行動の分子機構

9. 精神疾患のマウスモデル【山崎信幸,高雄啓三,宮川 剛】

  • 前脳特異的カルシニューリンノックアウトマウスにおける統合失調症様の行動異常
  • カルシニューリンと統合失調症
  • 今後の方向性

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  • 【本書名】実験医学増刊:脳神経疾患の分子病態と治療への展開〜アルツハイマー病,パーキンソン病,発達障害,精神疾患などの発症メカニズムを分子から解く
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