実験医学増刊 Vol.30 No.10

再生医療を実現化する

幹細胞のメディカルサイエンス

stemnessと分化の制御,新規因子の発見から三次元組織形成など臨床につながる最新成果まで

  • 梅澤明弘,笹井芳樹,洪 実/編
  • 2012年06月05日発行
  • B5判
  • 205ページ
  • ISBN 978-4-7581-0323-7
  • 定価:5,940円(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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幹細胞研究・再生医療の最新知見をまとめたレビュー集.医療応用を支える基盤研究に重点を置きつつ,技術革新の動向や,三次元組織の立体形成といった注目度の高い最新の研究成果まで幅広く解説しています.

目次

概論 進展する幹細胞のサイエンスから再生医療へ【梅澤明弘】

  • 幹細胞運命を決める転写因子
  • iPS 細胞樹立をはじめとした幹細胞工学にかかる技術革新
  • 多能性幹細胞による多細胞体構築
  • 臨床に向けた幹細胞戦略
  • 多能性幹細胞の現状とレギュレーション

第1章 幹細胞のサイエンス

Ⅰ.微小環境

1. ニッシェによる組織幹細胞の維持【長澤丘司/尾松芳樹/杉山立樹】
  • 生殖幹細胞ニッシェ
  • 造血幹細胞ニッシェ
  • 哺乳動物の上皮系組織幹細胞ニッシェ
2. 幹細胞とがんの接点【平尾 敦】
  • がん幹細胞説には多くの議論がある
  • がんの起源細胞は幹細胞か?
  • がん幹細胞のニッチの役割

Ⅱ.リプログラミングのメカニズムとエピジェネティクス

3. ヒトとマウスiPS細胞の共通性と相違点【多田 高】
  • iPS細胞の出現
  • マウスES/iPS細胞とマウスEpiS細胞
  • ヒトiPS細胞とマウスES/iPS細胞
  • ヒトiPS細胞とマウスEpiS細胞
4. 体細胞初期化を促進する新規因子の探索とGlis1の同定【前川桃子/山中伸弥】
  • 新規初期化因子の網羅的探索
  • Glis1
  • iPS細胞誘導過程におけるGlis1の機能
  • Prmt5
5. iPS細胞とゲノムメチル化ダイナミクス【西野光一郎/梅澤明弘】
  • iPS細胞におけるエピゲノム変化
  • iPS/ES細胞特異的DNAメチル化可変領域(DMR)の同定
  • iPS-ES間で異なるDNAメチル化可変領域(異常メチル化領域)の同定
  • iPS細胞の長期培養における外来遺伝子非依存的リプログラミング
  • ヒト多能性幹細胞における5-hmC
6. 幹細胞のゲノムインプリンティングとエピジェネティクス【多田政子】
  • インプリンティングは哺乳類の正常胚発生に必須
  • 生殖細胞形成過程でのインプリント消去
  • 生殖細胞形成過程後期での新規インプリントの獲得
  • in vitroでのインプリント書換え
  • iPS細胞に残る体細胞核のゲノムインプリント

Ⅲ.分化と多能性のメカニズム

7. Zfp521による多能性幹細胞の神経分化の開始機序【上谷大介/笹井芳樹】
  • 神経誘導因子Zfp521遺伝子の同定
  • Zfp521タンパク質の機能と分子メカニズム
8. 体軸幹細胞から神経系・中胚葉への分化とその制御【竹本龍也/近藤寿人】
  • 体軸幹細胞の存在を示した細胞系譜研究
  • 体軸幹細胞から神経系原基細胞・中胚葉細胞を産出する転写制御
  • 体軸幹細胞の維持・分化を制御するシグナル群
9. 哺乳類の生殖細胞における分化多能性の誘導【木村 透】
  • 始原生殖細胞における多能性の誘導
  • 始原生殖細胞において多能性を誘導する分子機構
  • 精子幹細胞における多能性の誘導
  • PGCにおける分化状態の“準安定性”
10. マウスES細胞におけるシグナル-転写因子ネットワークによる多能性維持のメカニズム【浦 大樹/丹羽仁史】
  • ES細胞の多能性維持に関与するシグナル経路
  • シグナルと多能性に関与する転写因子ネットワークモデル

Ⅳ.幹細胞の維持と安定化,その他の機能

11. ES細胞におけるZSCAN4によるゲノム安定性維持【平田哲也/洪 実】
  • Zscan4について
  • 着床前期胚におけるZscan4の機能
  • ES細胞におけるZscan4の発現パターン
  • ES細胞におけるZscan4の機能
  • iPS作製におけるZscan4の可能性
  • Zscan4のiPS細胞作製における発現と機能
  • Zscan4を用いたiPS細胞作製早期における遺伝子発現プロファイルについて
12. 細胞間接着によるヒト多能性幹細胞の生存シグナルの分子機序【大串雅俊】
  • ROCK阻害剤の生存維持効果
  • 細胞間接着によるヒトES生存の分子機構
  • ICM vsエピブラスト型の多能性幹細胞
  • 細胞-細胞外マトリックス(ECM)間接着
13. 多能性幹細胞と糖鎖【豊田雅士/梅澤明弘】
  • マーカーとしての糖鎖
  • リプログラミングによる糖タンパク質糖鎖構造変化とその意義
  • 多能性維持と分化誘導に関わる糖鎖
  • iPS細胞の医療展開と細胞の規定

第2章 多能性幹細胞と分化誘導などのテクノロジー

1. 医療応用へ向けたヒトiPS細胞作製の技術開発【山川達也/沖田圭介】
  • 初期化因子
  • 遺伝子導入方法
  • 異種成分を含まない培養条件(Xeno-free)
  • 起原となる細胞種
2. 特定因子による細胞運命の直接転換【鈴木淳史】
  • 細胞運命の人為的制御
  • 神経細胞への直接転換
  • 心筋細胞への直接転換
  • 肝細胞への直接転換
  • 同一系統内にある細胞間の直接転換
  • 部分的初期化を利用した細胞運命転換の誘導
3. クローン胚からのES細胞作製【阿久津英憲/福田 篤/Dieter Egli】
  • ヒト未受精卵は体細胞核をリプログラムし分化多能性を獲得できるか
  • ヒト卵母細胞の分化多能性獲得とエピジェネティック・リプログラミング
  • SCNT法によるヒトES細胞の課題
4. 幹細胞の自己組織化による眼杯形成【永楽元次】
  • 哺乳類での眼の発生様式
  • SFEBq法を用いたES細胞からの神経分化系
  • in vitroでの“眼杯形成”メカニズム
5. ES/iPS細胞研究のための遺伝学的手法の新展開【堀江恭二/國府 力/竹田潤二】
  • 遺伝子改変ES細胞株のリソース
  • 部位特異的二重鎖切断による遺伝子改変
  • ハプロイドES細胞
6. 転写調節因子を自在に誘導できるES細胞バンクの作製とその応用【中武悠樹/西山 晃/洪 実】
  • 遺伝子ネットワーク解析のプラットフォーム
  • 転写因子を自在に誘導できるES細胞バンクの作製
  • マイクロアレイによる遺伝子発現解析
  • 転写調節因子結合ゲノム部位の同定と転写調節因子複合体の解析
  • 培養細胞としての表現型解析
  • 細胞間相互作用の解析

第3章 臨床に向けた戦略と最前線ー創薬・多細胞体構築に向けて

1. 加齢黄斑変性【岡本理志/高橋政代】
  • 網膜色素上皮細胞と加齢黄斑変性
  • RPE再生治療に適した細胞の選択
  • 細胞移植治療へ向けた課題
2. ES細胞から機能的な下垂体の立体形成【須賀英隆】
  • 下垂体前葉の発生
  • SFEBq法
  • 2種類の層を形成
  • ラトケ嚢の自己組織化
  • ホルモン産生細胞への分化
  • 上位ホルモンによる支配とネガティブフィードバック
  • 下垂体機能不全モデルマウスへの移植
  • 研究結果の意義と展望
3. iPS細胞を用いたParkinson病に対する再生医療の現状と課題【西村周泰/高橋 淳】
  • Parkinson病に対する幹細胞移植治療がなぜ必要なのか?
  • 中脳ドパミン神経への分化誘導法の開発と改良
  • 細胞移植による評価系の確立
  • 今後の展望と課題
4. ES・iPS細胞からの機能的な始原生殖細胞の分化【林 克彦/斎藤通紀】
  • 個体発生におけるPGCsの発生過程
  • 体外培養におけるES細胞からのPGC発生の再構築
  • iPS細胞からの精子形成と産仔の作製
5. ES細胞・iPS細胞から機能的な血液細胞を作り出す方法【原 孝彦/北島健二】
  • マウス胚での造血発生
  • マウスES・iPS細胞からのin vitro血液細胞分化
  • ヒト胚での造血発生
  • ヒトES・iPS細胞からのin vitro血液細胞分化
6. 制御性T細胞と移植免疫【木本富子/坂口志文】
  • 免疫応答システムとGVHD
  • 制御性T細胞
  • 制御性T細胞と抑制メカニズム
  • 制御性T細胞と抗原特異性
7. 患者から学び患者に還元する,疾患iPS細胞研究の新展開【濱崎考史/寺田直弘】
  • 疾患iPS細胞の利点と特徴
  • 疾患iPS細胞応用における4つの道標
  • 疾患iPS細胞の進展が期待される3つのシナリオ
8. iPS細胞を用いた遺伝子・細胞治療への挑戦【香月康宏/押村光雄】
  • 遺伝子導入ベクターと遺伝子治療の課題
  • 遺伝子導入型
  • 遺伝子修復型

第4章 再生医療実用化の現状とレギュレーション

1. 臨床用iPS細胞バンク【青井貴之】
  • iPS細胞の本質的特徴
  • iPS細胞に関する技術的現状
  • 臨床用iPS細胞バンク構想
  • 臨床用iPS細胞バンクの実現に向けた課題
2. 再生医療における細胞・組織加工製品の治験とレギュレーション【草川森士/佐藤陽治】
  • 細胞・組織加工製品の国内実用化の道筋
  • 医師主導治験
  • 治験開始に関する規制・制度
  • 治験の科学的信頼性・安全性確保と倫理的実施に関する規制・制度

増刊号編者Onlin Interview

本増刊号の編者のお一人,国立成育医療研究センター研究所の梅澤明弘先生に幹細胞研究の魅力について伺いました.また,患者さんと触れ合うことによって気付かされたという「サイエンスをする意義」についても,読者の皆様へのメッセージと共に語っていただきました.

Profile

梅澤先生 写真
梅澤 明弘(Akihiro Umezawa)
国立成育医療研究センター研究所
1989年,慶應義塾大学医学部助手(病理学).米国カリフォルニア大学サンディエゴ校内科学教室研究員,米国ラ・ホヤがん研究所研究員,慶應義塾大学医学部助教授(病理学)を経て,2002 年より国立成育医療センター研究所部長(生殖医療研究部).2011年,国立成育医療研究センター研究所再生医療センター長.骨髄間質細胞の分化の研究から始まり,メチル化・クロマチン構造の改変の研究,そしてヒト胎児性がん細胞の分化に進み,研究テーマは一貫して「細胞の全能性と部分全能性」の問題に関することである.間葉系細胞の予想以上の可塑性に驚いている.間葉系細胞のdefaultとpreferenceの状態を行ったり来たりさせる(細胞転換)ことにより,細胞治療の「事実上の標準仕様」として,臓器の再構築を行いたい.また,小児の難病に対して,ヒトES細胞を用いた再生医療を実現させることで社会に貢献したい.
  • [1] こてこての幹細胞サイエンスの醍醐味
  • 梅澤明弘
  • 6分23秒 2012年5月29日公開
  • 1 こてこての幹細胞サイエンスの醍醐味
  • [2] 細胞医療から立体構造を伴った再生医療へ
  • 梅澤明弘
  • 6分38秒 2012年5月29日公開
  • 2 細胞医療から立体構造を伴った再生医療へ
  • [3] 基礎研究をし続ける事こそが難病の患者さんの唯一の希望
  • 梅澤明弘
  • 6分8秒 2012年5月29日公開
  • 3 基礎研究をし続ける事こそが難病の患者さんの唯一の希望
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  • 「幹細胞・再生医療に関するアンケート」は2012年7月31日を持ちまして終了いたしました
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