薬剤と疾患から探す循環器薬の使い方

  • 池田隆徳/編
  • 2020年03月10日発行
  • B6変型判
  • 352ページ
  • ISBN 978-4-7581-1868-2
  • 5,500(本体5,000円+税)
  • 在庫:あり
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1 心房細動とは?

  • 心電図上において迅速で,不規則,多形態の心房興奮波を有する不整脈である
  • 不整脈のなかの分類としては頻脈性上室不整脈に属する
  • 罹患率は高く,コモンディジーズとして取り扱われている
  • 肺静脈内から生じる群発性の局所巣状興奮が引き金となることが多い
  • 加齢,高血圧,心不全,貧血,脱水,感染,甲状腺機能亢進症などが誘発因子となる
  • 危険性の高い不整脈ではないが,虚血性脳卒中(脳塞栓症)を合併する疾患として知られている …

池田隆徳(東邦大学大学院医学研究科 循環器内科学)

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循環器薬の基本情報から病態に応じた具体的な投与法まで学べる実践書!使い分けから減薬・フォローまでわかる薬剤編と薬物治療の原則から不適切処方,患者への説明までわかる疾患編で頻用薬をコンパクトに解説!

目次

序【池田隆徳】

薬剤編

Ca拮抗薬

1.ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬【木内俊介】

2.非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬【池田隆徳】

RAA系阻害薬

3.ACE阻害薬【木内俊介】

4.ARB【木内俊介】

5.レニン阻害薬【池田隆徳】

β遮断薬

6.β遮断薬【池田隆徳】

利尿薬

7.サイアザイド系利尿薬【久武真二】

8.ループ利尿薬【久武真二】

9.バソプレシン受容体拮抗薬【久武真二】

10.ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬【久武真二】

11.hANP【木内俊介】

降圧薬

12.α遮断薬【池田隆徳】

13.中枢性交感神経抑制薬【池田隆徳】

14.末梢血管拡張薬【池田隆徳】

狭心症治療薬

15.硝酸薬【天野英夫】

16.冠拡張薬【天野英夫】

抗不整脈薬

17.Ⅰ群薬【池田隆徳】

18.Ⅲ群薬【池田隆徳】

19.Ⅳ群薬【池田隆徳】

抗血小板薬

20.アスピリン【天野英夫】

21.チエノピリジン系抗血小板薬【天野英夫】

22.シロスタゾール【池田隆徳】

抗凝固薬

23.ヘパリン製剤【久武真二】

24.注射Xa阻害薬【久武真二】

25.経口抗凝固薬【藤野紀之】

強心薬

26.ジギタリス製剤【藤野紀之】

27.カテコラミン製剤【久武真二】

28.PDE-3阻害薬【木内俊介】

血管拡張薬

29.プロスタグランジン製剤【天野英夫】

30.エンドセリン受容体拮抗薬【久武真二】

31.PDE-5阻害薬【久武真二】

脂質異常症治療薬

32.スタチン【木内俊介】

33.エゼチミブ【木内俊介】

34.フィブラート系薬【木内俊介】

35.PCSK9阻害薬【天野英夫】

36.EPA・DHA製剤【天野英夫】

糖尿病治療薬

37.インスリン製剤【熊代尚記】

38.DPP-4阻害薬【熊代尚記】

39.ビグアナイド薬【熊代尚記】

40.SGLT2阻害薬【熊代尚記】

高尿酸血症治療薬

41.高尿酸血症治療薬【木内俊介】

その他

42.β刺激薬【池田隆徳】

43.ATP製剤【池田隆徳】

44.塩酸モルヒネ【池田隆徳】

疾患編

A. 血圧異常

1.高血圧症【木内俊介】

Case1 重度の高血圧例
Case2 高齢の高血圧例(CKDの合併例)

2.二次性高血圧症【木内俊介】

Case1 腎血管性高血圧症例

3.低血圧症【木内俊介】

Case1 立ちくらみをきたす低血圧例

4.肺高血圧症【冠木敬之】

Case1 肺動脈性肺高血圧症例

B. 心不全

1.急性心不全【久武真二】

Case1 虚血性心筋症による急性収縮不全例
Case2 高血圧による急性拡張不全例

2.慢性心不全【久武真二】

Case1 二次性心筋症による両心不全例
Case2 超高齢のうっ血性心不全例
Case3 心不全緩和

C. 虚血性心疾患

1.急性心筋梗塞【天野英夫】

Case1 薬剤溶出ステント留置の急性心筋梗塞例
Case2 心不全合併の急性心筋梗塞例

2.亜急性/陳旧性心筋梗塞【飯島雷輔】

Case1 心房細動合併の陳旧性心筋梗塞例

3.労作性・不安定狭心症【飯島雷輔】

Case1 胸痛を伴う新規発症の労作性狭心症

4.冠攣縮性狭心症【飯島雷輔】

Case1 夜間の胸痛を伴う冠攣縮性狭心症例

D. 不整脈

1.心房細動【池田隆徳】

Case1 心筋梗塞後の経過中に発症した発作性心房細動
Case2 頻脈をきたしている持続性心房細動

2.発作性上室頻拍【藤野紀之】

Case1 安静時心電図で異常を認めない発作性上室頻拍例

3.心室期外収縮【藤野紀之】

Case1 心機能正常の症状を伴う心室期外収縮例

4.心室頻拍【池田隆徳】

Case1 循環動態の悪化をもたらした持続性心室頻拍例

5.心室細動【池田隆徳】

Case1 器質的心疾患による心室細動からの蘇生例

6.徐脈性不整脈【藤野紀之】

Case1 自覚症状が乏しい洞不全症候群例

E. 心筋疾患

1.拡張型心筋症【中西理子】

Case1 左心不全を伴う拡張型心筋症例

2.肥大型心筋症【中西理子】

Case1 左室流出路狭窄を伴う閉塞性肥大型心筋症例

3.不整脈原性右室心筋症【中西理子】

Case1 持続性心室頻拍を伴う不整脈原性右室心筋症例

4.急性心筋炎【冠木敬之】

Case1 劇症型の急性心筋炎症例

F. 弁膜症

1.大動脈弁狭窄症【天野英夫】

Case1 胸内苦悶を伴う大動脈弁狭窄症例

2.大動脈弁閉鎖不全症【天野英夫】

Case1 左心不全を伴う大動脈弁閉鎖不全症例

3.僧帽弁狭窄症【清水一寛】

Case1 心房細動を合併する僧帽弁狭窄例

4.僧帽弁閉鎖不全症【清水一寛】

Case1 左心不全を伴う僧帽弁閉鎖不全症例

5.三尖弁閉鎖不全症【冠木敬之】

Case1 右心不全を伴う三尖弁閉鎖不全例

G. 心膜・心内膜疾患

1.急性心膜炎【髙橋真生】

Case1 持続する発熱と胸痛を主訴に来院した急性心膜炎

2.慢性収縮性心膜炎【髙橋真生】

Case1 腹部膨満を主訴に来院した慢性心膜炎

3.感染性心内膜炎【髙橋真生】

Case1 持続する発熱と腰痛を主訴に来院した感染性心内膜炎

H. 動脈疾患

1.大動脈解離【大熊新之介,藤井毅郞】

Case1 著しい高血圧を伴う大動脈解離

2.大動脈瘤【大熊新之介,藤井毅郞】

Case1 偶然発見された無症状の大動脈瘤

3.末梢動脈疾患【大熊新之介,藤井毅郞】

Case1 間欠性跛行を伴う下肢動脈狭窄例

I. 静脈疾患

1.肺塞栓症【清水一寛】

Case1 劇症型心筋炎回復後,失神した肺塞栓症例

2.深部静脈血栓症【清水一寛】

Case1 長時間座位による下肢静脈血栓症例

索引

執筆者一覧

書評・感想
  • 医療法人社団葵会 南八王子病院 院長
    新 博次

    われわれの世代が国家試験合格の後、入局し臨床の現場に出たとき(今日では臨床研修が開始されたとき)には、現場で使用されている薬剤についての知識は少なく、多くのことを先輩医師に教えを請わねばならなかった。

    薬物治療の本質をみると、患者体内の不都合な環境の一部を改善し、その個体の回復力に期待するものと、強制的に薬剤の毒性をもって制御するものとがある。循環器疾患に使用される薬剤の多くは前者であるが、抗不整脈薬は後者にあたる。実際の使用に際しては薬剤の薬理学的特性、薬力学的作用の強弱を勘案して選択し使用することになる。残念ながら、現実はパターン認識に基づく選択で使用されることが多いのではないかと思っている。循環器領域ではさらに問題を複雑にしている局面がある。それは病態・病状の変化に伴い用量調節を必要に応じて行う必要があることである。実際、患者背景を考慮した初期投与量を設定し、病状の推移に伴う用量調節も適切に行なわなければならない。臨床医には、このような面倒な循環器薬をうまく使いこなすことが求められている。

    既存の書籍で処方に関する定評のある指南書もあるが、いずれも持ち歩きには適さないサイズである。本書はハンディサイズで、薬剤名のみならず、疾患名からも薬剤の検索が可能であり、特に多忙な診療現場での活用には適した書籍となる。内容的にも副作用の記述のみではなく、薬理作用の違い、類似薬との使い分けといった見出しを設け、実践に即した重要な情報が記載されている。疾患編では“うまくいかなかった場合の裏ワザ”、“患者への説明”といった項目があり、これら斬新な企画により本書の臨床的利便性を高めている。研修医から、これから循環器専門医を目指す医師、循環器専門医、臨床の現場で多忙な診療をこなしている必ずしも循環器を専攻していない臨床医の皆様にもお薦めの1冊である。

    『循環器ジャーナル Vol.68 No.3』(医学書院)より転載

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