基礎から学ぶ微生物学

基礎から学ぶ微生物学

  • 石井正治/編
  • 2025年07月29日発行
  • B5判
  • 229ページ
  • ISBN 978-4-7581-2179-8
  • 3,960(本体3,600円+税)
  • 在庫:あり
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※実際の紙面のレイアウトとは異なります

書 評

中井 亮佑
(産業技術総合研究所 バイオものづくり研究センター)

目に見えない微生物を,私たちはどのように学ぶべきだろうか.ともすれば,微生物の実体がつかみにくいがゆえに,教科書に書かれた知識をただ暗記することに陥りがちである.告白すると,評者自身も大学生の頃,研究室に配属される以前は,微生物に関する知識を暗記するばかりで,小さな生物たちが秘める面白さや奥深さを十分に理解できていなかった.微生物学をつまらない暗記科目として終わらせる前に,まずは本書を手に取ってほしい.なぜなら,微生物を学ぶ大学生にとって,本書は確かな道標となるからである.この『基礎から学ぶ微生物学』は,石井正治氏,新井博之氏,亀谷将史氏の三名によって執筆された微生物学の入門書であり,大学の理・農・工系学部の初年次学生を主な対象としつつ,より上級の学年の読者にも配慮した内容となっている.

本書は全12章から構成され,微生物学の歴史,微生物の分類や種類・特徴といった基礎的な事項から,栄養や増殖,代謝,生態,さらには微生物の取り扱いに至るまでを体系的に解説している.とりわけ第4章「微生物の種類と特徴」では,微生物の顕微鏡写真が数多く掲載されており,これほど多様な微生物たちの姿かたちを一望できる入門書は多くない.よく知られる大腸菌や酢酸菌・根粒菌・シアノバクテリア(ラン藻)に加え,産業上有用な細菌群であるBifidobacterium属やCorynebacterium属,2020年に発見された,ゲノムが膜で包まれた常識外れの細菌Atribacter laminatus,さらには真核藻類のChlorella属やDunaliella属などの写真も掲載されている.微生物の生き様を思い描きながら,その代謝や生態を学べる点は,本書の大きな魅力である.

さらに本書には,随所にコラムが織り込まれている.「大腸菌1匹の重さを知ろう」や「微生物の純粋培養とは」といった,微生物学の理解の根幹に関わる問いが平易に紹介されており,読者の思考を促す仕掛けがある.評者自身もこのコラムから学ぶことが多かった.教科書としての役割にとどまらず,写真やコラムを通じて理解を深められる点で,本書は大学院生や教員にとっても有用な書である.

『日本微生物生態学会誌 41巻 1号』より転載

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基礎から学ぶ微生物学

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  • 3,960(本体3,600円+税)
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