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書 評
胸部画像診断を基礎から“しっかり”学びたいすべての医師へ
田中 希宇人[キュート先生 @cutetanaka・SNS]
(日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長 兼 病院長補佐)
亀田総合病院 呼吸器内科主任部長・中島 啓 先生による新刊『胸部X線・CTの読み方 やさしくやさしく教えます! 改訂版』を拝読しました.本書は,胸部画像に苦手意識をもつ研修医や若手専攻医,さらには非専門医にとって心強い味方となる1冊です.タイトルの通り“やさしく”語られていますが,その中身は実に“丁寧かつ本格的”です.
特に注目すべきは,X線・CT画像の豊富さと,それに添えられた具体的かつ実践的な読影アプローチです.視線誘導を示す矢印,基本解剖への立ち返り,段階的な読影フローなど,実臨床に即した内容は,指導医が研修医を教える際にも非常に有用です.
本書の構成は3章に分かれており,第1章では「胸部X線」の基本と,見落としやすい部位への注意点を.第2章では「胸部CT」の解剖,読影手順,所見の記載方法を.第3章では「病変部位ごとのCT読影」の具体例を通じて,実地診療ですぐに使える知識がまとめられています.また随所に散りばめられたコラムでは,若手医師の指導経験をもとに,「胸部X線の読影力を上げるコツは?」「肺癌と結核の鑑別診断で大切なこと」など現場でよくある疑問に対する“ちょっとした工夫”や“目のつけどころ”が紹介されており,これがまた実に秀逸です.
「とりあえず何か1冊」と手にとるには贅沢すぎるほどの情報量と実用性.本書はまさに,胸部画像診断を基礎からしっかり学びたい医師にとっての“決定版的な入門書”といえるでしょう.初学者はもちろん,すべての臨床医に一読をおすすめします.
