トップページ
>
本誌のご案内
>
2005年7-8月号
> 特集
(6月20日発行)
2005年7-8月号
(Vol.5 No.4)
定価 2,625円(税込)
前号<<
>>次号
・
特集
■ プロトコール
プロテオーム研究なるほどQ&A
RNAi実験UPDATE
最新蛍光イメージング活用術
細胞・組織の形態観察と解析のテクノロジー
■ テクノロジー・ニュース
・
テクノ・トレンド
・
Bio News
■ ビジネス&パーソン
・
インタビュー
・
バイオベンチャー徹底検証
・
産学連携時代の共同研究術
■ コラム
・
研究室でお夜食を
・
喜怒脳楽
・
シリコンバレー春夏秋冬
■ 製品・サービス情報
・
掲載広告一覧
特集
いま注目の DNAチップ大活用!!
究極の網羅的チップ/miRNA解析チップ/超高感度&超安価チップ/ データ解析の極意
企画/佐々木 博己(国立がんセンター研究所腫瘍ゲノム解析・情報研究部)
・<概論>DNAチップ実験の意義〜いま注目のチップと今後の方向性〜
佐々木 博己
DNAチップは,約10年ほど前に開発され,20〜100merのヌクレオチド,cDNA,またはBACクローンDNAが基盤上に高密度に並べられたマイクロアレイである.検体DNAやRNAとのハイブリダイゼーションによって,塩基配列の決定,遺伝子変異・SNP解析,遺伝子の発現量・コピー数の測定およびDNAのメチル化解析といったDNA,RNAの多様な質的および量的変化をゲノムワイドに調べることができる.最近,網羅的な細胞への遺伝子(cDNAやsiRNA)導入に使われたり,クロマチン免疫沈降との組み合わせによって,DNA複製複合体などあらゆる複合体の解析に威力を発揮できることがわかってきた.
・miRNA研究とDNAチップ〜21世紀の研究課題〜
1.これからのmiRNA研究の必須アイテム 〜miRNAアレイの現状と将来展望
上田哲也 佐々木 博己 上西紀夫
miRNAは21〜23塩基対からなる機能性non-coding RNAであり,1993年にAmbrosらのグループによりはじめて線虫において報告され,その後ヒトにいたる幅広い生物種において保存され存在していることが示された.その機能は遺伝子発現の転写後抑制であり,複数のタンパク質と複合体を形成して標的となるmRNAに結合し,その翻訳を抑制するが,RNAiと類似の機構で標的mRNAを直接切断する場合もあると考えられている.標的mRNAはその認識が配列の完全一致だけではなくミスマッチも容認するため複数あり,標的mRNAを予測する方法がいくつか開発されている.
2.miRNAのターゲット同定の現状
ロベルト・バレロ 櫻井仁美
個々のmiRNAとその標的遺伝子の知見は,徐々に蓄積されてきたが,miRNAによる遺伝子発現調節の全体像を知るには実験的解析だけでは限界がある.miRNAの配列によって標的遺伝子が選ばれるのなら,これらの知見をもとにコンピュータで標的を予測することは可能だろうか.ここでは,近年さまざまなグループで行われている標的遺伝子の予測について概説する.
・アレイCGH法の進展とCNPの発見
新井康仁
アレイCGH法はゲノムDNAのコピー数を調べる方法であり,CGH法(comparative genomic hybridization:比較ゲノムハイブリダイゼーション)の発展したものである.CGH法は,Kallioniemi,Gray,Pinkelらによって1992年に開発されたもので,現在の高精度なヒトゲノム地図を作成する基盤の技術となったFISH法(fluorescence
in situ
hybridization)を応用したものである.
・ChIP-Chip法によるトランスクリプトソーム結合領域の網羅的な同定
高橋康彦
ChIP-Chip法は,2つのチップ技術〔クロマチン免疫沈降法(ChIP)とDNAチップ(DNA Chip)〕の融合技術である.クロマチン免疫沈降法によって
in vivo
でトランスクリプトソームが結合していた領域を精製した後に,DNAチップを用いてその検出を行う.クロマチン免疫沈降法で架橋剤として用いられるホルムアルデヒドはタンパク質−DNA間,およびタンパク質−タンパク質間へ可逆的な共有結合を導入する.
・ゲノム網羅的転写マップの作成へ向けた新規遺伝子の同定
佐々木 博己
イントロンのない微生物ゲノムの分野ではゲノム配列の決定のみでよい有用遺伝子のハンティング(メタゲノムプロジェクト)が花盛りである.ところが,ここ2〜3年で,イントロンをもつ高等生物ゲノムから新規遺伝子を同定する方法が発表され,俄然ヒトの遺伝子ハンティングの時代に突入した感がある.本稿では,これから大規模に展開されるであろうこのゲノムタイリングチップを利用した新規遺伝子の同定法を紹介したい.
・超高感度チップと超安価チップ
1.超高感度DNAチップの開発
滝澤聡子 薙野邦久 信正 均
これまでに多種多様なDNAチップが開発され,製品化されている.これらの多くは主に基礎研究用として使用され,ゲノム関連の基礎研究の発展に大いに寄与している.しかし既存のDNAチップは,検査・診断への応用に対して検出感度が十分とは言い難い.
われわれは,1)チップ形状の検討,2)ターゲットDNAとの反応性向上,の2つを開発課題として掲げ,感度が従来のDNAチップと比較して10倍以上優れた性能を持つ高感度DNAチップの開発に取り組み,最高で100倍の超高感度化に成功した(論文投稿中).
2.電気化学的な合成と検出で高感度なマイクロアレイを実現
戸田好美 Kilian Dill
凸版印刷(株)とコンビメートリックス社で共同開発中のマイクロアレイと合成・検出システムは,チップ上で任意のプローブDNAを比較的安価に約一晩という短い時間で電気化学的に合成するという特徴と,ターゲットDNAの検出を電気化学的に行うという両方の特徴を兼ね備えたものである.合成と検出の両方を電気化学的に行えるシステムは,検出プローブを任意にデザイン変更できる簡便性,測定機器の飛躍的な小型化・低価格化,そして,高い感度の3つの特徴を併せもつことになり,研究の柔軟性を広くサポートするだけでなく,将来の臨床現場での利用が期待される.
・チップデータ解析の新しい流れ〜シグナルネットワークプロファイリング〜
1.今後発展が予想されるモジュール分析について
松崎真一
個々の遺伝子の統計学的な有意差だけに注目するのではなく,生物学的な知見も積極的に取り入れて解析を行おうとするのがモジュール分析の基本的な考えである.タンパク質は単独で働くことはなく,常に他のタンパク質と相互作用を行って,協調的に働く.例えば,転写酵素複合体や代謝パスウェイを想像していただければ,理解しやすいだろう.この「特定の生物学的機能を果たすために協調して働く遺伝子セット」を「モジュール」とよぶ.
2.分子ネットワークとチップデータ解析の融合〜KeyMolnetの開発〜
佐藤陽美
KeyMolnetは当研究所の研究員が総説,論文などから分子の関係(分子リレーション)を軸に,疾患,医薬品情報を精選,抽出したコンテンツとそれらを自在に引き出し,ネットワークをリアルタイムに生成することができるソフトウェアからなる.また,外部パブリックデータベース(DB)とのリンク,ユーザーDBとの連携,DNAチップなどの実験データの取り込み,解析などを行うことができる.
・数理統計学とチップ解析
1.DNAチップデータ解析において統計学の役割は何か?
江口真透
統計学は,実にさまざまなデータを扱う学問である.もっと正確に言えば,すべてのデータに対して普遍的な方法を扱う分野である.この観点から考えれば,チップデータであろうと,他のどんなデータの形式であろうと,その属性とは無関係に,統計推論の定式化も含めたモデリゼイションが成功すれば,自動的に最適な方法で解析できるはずである.この枠組みを作ることが私たち統計研究者の仕事である.ところが,実際にはそうはうまくいかない.チップデータ解析に限らず,SNP,プロテオームのデータ解析などは,従来のデータ解析方法では全くうまく働かない.ここに統計学の新しい課題が始まった.この課題は,「p>>n問題」とよばれ,広く認識されるようになってきた.
2.DNAチップ解析における遺伝子スクリーニング手法の重要性と新手法の提案
高橋広夫 本多裕之
DNAチップは,数千から数万もの遺伝子の発現情報を同時に得ることができる有用なツールではあるが,観測する遺伝子の大半が,疾患とは無関係な遺伝子であり,疾患と関連が深い遺伝子の抽出が極めて重要である.しかし,DNAチップの情報は実験的なノイズを含みやすく,そのため,疾患とは無関係な膨大な遺伝子に,偶然,統計的有意差が生じる危険性がある.そこで,本稿では,まず従来の遺伝子スクリーニング手法について述べたあと,われわれが開発した新しい遺伝子スクリーニング手法について述べ,実際の白血病のサブクラス分けへの応用例について述べる.
■
書籍購入について
■
広告掲載について
■
キーパーソン
■
バイオ研究リンク集
■
バイオキーワード集
■
求人情報
■
セミナー情報
■
メールマガジン
(C)
YODOSHA CO., LTD.
All Rights Reserved.