実験医学増刊 Vol.21 No.2

シグナル伝達研究2003

主役となる因子・経路のすべてと注目される新しい分野への展開

  • 秋山 徹,宮園浩平/編
  • 2003年01月20日発行
  • B5判
  • 211ページ
  • ISBN 978-4-89706-095-8
  • 定価:5,940円(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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本書は細胞周期,接着,運動,極性,形態形成,分化,生存と死など多様な生命現象を制御するシグナル伝達経路とその主役となる因子を網羅し,またシグナル伝達経路同士のクロストークについても重点的に取りあげました.さらにイメージングやプロテオミクスなど新しい技術を用いた研究や,癌治療・創薬への展開など,進歩の著しいシグナル伝達研究の最新の話題を厳選した内容となっています.シグナル伝達はもちろん,免疫,発生,神経,癌などさまざまな研究分野を理解するのに必携の一冊です.

目次

概論:シグナル伝達経路のバリエーション【宮澤恵二,宮園浩平】

  • レセプター複合体の多様な構成
  • 核内のシグナル伝達因子・転写因子複合体

第1章 細胞内シグナル伝達の主要因子

1. GTP結合タンパク質【田中美成,入江賢児,高井義美】

  • Small G
  • 三量体Gタンパク質

2. チロシンキナーゼシグナルの正と負の制御【吉村昭彦,加藤玲子,佐伯和子】

  • チロシンキナーゼの活性化機構
  • 主要なシグナル経路
  • シグナルの負の制御

3. 非受容体型チロシンキナーゼ【山梨裕司】

  • SrcファミリーPTK
  • Src,Csk,Syk,BtkとB細胞抗原受容体
  • JakファミリーPTKとサイトカイン受容体
  • FakファミリーPTK
  • AblファミリーPTK
  • その他

4. MAPキナーゼカスケードの制御と役割【森口徹生】

  • MAPキナーゼカスケードの構成因子とその機能
  • MAPキナーゼカスケードの阻害剤
  • MAPキナーゼの制御機構

5. ホスホイノシチドホスファターゼ研究の最近の展開【伊集院 壮,竹縄忠臣】

  • イノシトールポリリン酸5-ホスファターゼ
  • ホスホイノシチド3-ホスファターゼ

6. NFκB-まだまだあるその巧妙な制御機構【井上純一郎】

  • IKKα(IKK1)/IKKβ(IKK2)/IKKγ(NEMO)
  • 細胞質と核をシャトルするNFκB/IκBα複合体
  • いろいろなところで起こるユビキチン化
  • IκBの分解後

7. TGF-βシグナル伝達と疾患【鈴木裕之,宮園浩平】

  • TGF-βのシグナル伝達
  • TGF-βの作用
  • TGF-βシグナル伝達異常と疾患

8. Fasの機能とシグナル伝達機構【李 慶權,米原 伸】

  • Fasの生理および病理機能
  • Fasを介するアポトーシス誘導の分子機構
  • Fasを介する非アポトーシスシグナル伝達

9. IAPファミリータンパク質【幡野雅彦】

  • IAPファミリータンパク質の構造
  • 哺乳類IAPファミリータンパク質の発現と機能
  • IAPファミリータンパク質とアポトーシス制御
  • IAPファミリータンパク質と細胞周期制御
  • IAPファミリータンパク質と病気との関係

10.Notchシグナル伝達【影山龍一郎】

  • Notchおよびそのリガンドの基本構造
  • Notchの基本経路
  • Notchシグナル系因子の分解制御
  • 発生過程におけるNotchの機能

第2章 シグナル伝達のクロストークと生理作用

1. サイトカインと骨代謝【高柳 広,金 宣和,谷口維紹】

  • 骨リモデリングの異常と疾患
  • RANKLシグナルと破骨細胞分化
  • サイトカインによるRANKLシグナル制御
  • IFN-βシグナル欠損による骨粗鬆症
  • IFN-βによるRANKLシグナル抑制の標的分子c-Fos
  • RANKLはc-Fosを介してIFNを誘導する
  • IFN-βの骨疾患への応用可能性

2. Wntシグナル伝達経路 -複雑性と多様性を増す伝達様式と生理作用【中村 勉,秋山 徹】

  • Wntシグナルの多様性
  • 他のシグナル伝達経路とのクロストーク
  • Wntシグナルと形態形成
  • Wntシグナルと疾患
  • 大腸癌抑制遺伝子産物APCの新たな機能
  • Wntシグナル抑制因子ICAT

3. 細胞の大きさ制御とmTOR経路【斉藤正夫】

  • cell sizeとインスリンシグナル
  • mTORの分子構造
  • mTOR活性化機構
  • インスリンシグナルとTSC

4. Caspaseファミリータンパク質の機能【鎌田真司】

  • caspaseの構造と機能
  • caspaseの機能調節
  • caspaseの基質とアポトーシス
  • 最近のトピックス

5. 免疫系におけるSOCSファミリーによる拮抗的クロストーク【渡邊 大,仲 哲治】

  • SOCSファミリーとその構造
  • SOCSの発現誘導
  • SOCSによるシグナル抑制メカニズム
  • 拮抗的クロストーク

6. 核内レセプターシグナル伝達機構の分子メカニズム【堀江公仁子,井上 聡】

  • レセプターの種類とリガンド
  • レセプターの構造と機能
  • コアクチベーターとコレプレッサー
  • レセプター応答遺伝子と機能
  • ステロイドホルモンのnongenomic作用

7. 心筋発生・再生分化のシグナル【永井敏雄,小室一成】

  • 心筋の分子発生学
  • ES細胞の心筋細胞への分化シグナル

8. 神経系細胞の生存シグナル【増山典久,後藤由季子】

  • 神経栄養因子とレセプター
  • 逆行シグナル
  • PI3-キナーゼ/Akt経路
  • 神経栄養因子除去による細胞死
  • 未分化神経系細胞の生死

第3章 シグナル伝達研究の新展開

1. 生きた細胞における微小管プラス端集積因子のイメージング【清末優子,月田承一郎】

  • 微小管プラス端集積因子と微小管の“search-and-capture”機構
  • イメージングの新展開

2. 癌抑制遺伝子p53【井川俊太郎】

  • p53活性化のシグナリング
  • p53シグナル経路と生存シグナル経路
  • p53の転写活性化能と標的遺伝子
  • p53ファミリー遺伝子:その構造とp53との相互作用
  • p53と癌化
  • p53と老化

3. 細菌由来タンパク質による細胞内シグナル伝達系の撹乱と発癌【畠山昌則】

  • ヘリコバクター・ピロリ菌
  • ピロリ菌発癌関連遺伝子としてのcagA遺伝子
  • CagAタンパク質の胃上皮細胞内への移行
  • CagAタンパク質のチロシンリン酸化
  • CagAの細胞内標的分子-SHP-2チロシンホスファターゼ
  • CagAの生物活性を規定する分子機構
  • CagAと細胞癌化

4. 核-細胞質間タンパク質輸送機構とシグナル伝達【米田悦啓】

  • 核-細胞質間タンパク質輸送の基本メカニズム
  • 細胞内シグナル伝達経路の多様性

5. 細胞周期制御因子を介するシグナル伝達【秋元優夏,豊島秀男】

  • RBタンパク質
  • CKIによる調節
  • チェックポイントの制御機構

6. ストレス誘導性アポトーシスとMAPキナーゼカスケード【丸山芳子,一條秀憲】

  • MAPKとは
  • ASK1とは
  • ASK1の活性制御
  • レセプターからのシグナルにおけるASK1の役割
  • 小胞体ストレスによって誘導されるシグナル伝達におけるASK1の役割

7. 細胞間接着分子カドヘリンからのシグナリング【藤田恭之】

  • β-カテニン
  • p120
  • Hakai
  • Rac
  • PI3KとMAPK

8. プロテオミクス技術によるシグナル伝達解析【金本尚志】

  • プロテオミクスの概論
  • プロテオミクスを用いたTGF-βシグナルクロストークの解析

9. シグナル伝達因子をターゲットとした癌の分子標的治療薬の設計【赤羽浩一】

  • 分子標的治療薬のブロックバスターの出現
  • 分子標的治療薬の設計における研究戦略
  • 今後の創薬パラダイムの可能性

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