実験医学増刊 Vol.23 No.20

サイトカインの多彩な機能と臨床応用

免疫・造血・代謝・発生・神経の調節機構と疾患治療への最新アプローチ

  • 宮島 篤,北村俊雄/編
  • 2005年11月28日発行
  • B5判
  • 218ページ
  • ISBN 978-4-89706-114-6
  • 定価:5,940円(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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種々のサイトカインの機能や制御機構に関する最新の知見を解説するとともに,注目される臨床応用の実際について多くの実例をあげて紹介しています.サイトカイン研究の広がりと今後の展望を鳥瞰できる1冊.

目次

概論:サイトカインの基礎研究と臨床応用〜最近の動向【北村俊雄】

  • サイトカインの制御因子
  • サイトカインによる生体調節機構
  • サイトカインと疾患,臨床応用

第1章 サイトカインの制御因子

1. アダプター分子STAP-2によるサイトカインシグナル伝達系の調節【関根勇一,辻 暁司,佐藤紀子,松田 正】
  • STAP-1/STAP-2
  • STAP-2はYXXQモチーフを介してSTAT3活性を増強する
  • STAP-2によるSTAT5活性の制御
2. Sprouty/Spredファミリーによる増殖因子,サイトカインのシグナル制御【加藤玲子,武富孝治,野波 篤,谷口浩二,吉村昭彦】
  • ERK経路の負の調節因子群 Sprouty/Spredファミリー
  • Sproutyの作用機序
  • Spredの作用機序
  • Sprouty/SpredのXenopusにおける生理的機能
  • mSprouty1の生理機能
  • mSprouty2欠損マウスの解析
  • Spred-1の生理機能
  • Spred-2 KOマウスの解析
  • Sprouty/Spredと癌
3. ケモカイン受容体の複合体形成とシグナル制御【殿塚行雄,寺島裕也,松島綱治】
  • ケモカイン受容体の複合体形成とその意義
4. Lnkによる造血制御〜サイトカインシグナルの新しい抑制性制御機構【高木 智】
  • アダプタータンパク質Lnkの構造およびファミリータンパク質群
  • Lnkによる造血系細胞の産生・機能制御
  • Lnkによるシグナル制御の分子機構
  • Lnk阻害剤の開発と造血制御
5. 免疫系の自己-非自己識別機構とTRAF6【秋山泰身,井上純一郎】
  • 自己-非自己の識別にTRAF6は必要である
  • 獲得免疫系の自己-非自己識別とTRAF6
  • 自然免疫系の自己-非自己識別とTRAF6

第2章 サイトカインによる生体調節機構

1)免 疫

1. IRFによるⅠ型インターフェロン誘導と免疫系制御【本田賢也,谷口維紹】
  • 体細胞におけるIFN遺伝子誘導メカニズム
  • TLRを介するIFN-α/β誘導
  • 体細胞によるIFN誘導/TLRを介するIFN誘導-それぞれの働き
2. RNAヘリカーゼ,RIG-Ⅰによるインターフェロン系の制御【尾野本浩司,米山光俊,藤田尚志】
  • RIG-Ⅰの発見の経緯
  • RIG-Ⅰのウイルス感知機能
  • IFN産生の2次反応
  • RIG-Ⅰ関連遺伝子とIFN産生の終了メカニズム
  • RIG-Ⅰシグナルとウイルス感染
3. 細胞遊走活性とスカベンジャー受容体様活性を併せ持つケモカイン【島岡猛士,米原 伸】
  • ケモカイン
  • スカベンジャー受容体
  • ケモカイン,SR-PSOX/CXCL16のスカベンジャー受容体活性
  • 抗菌ペプチド
  • ケモカインの抗菌ペプチド活性
  • ケモカインと細菌や酸化LDLとの結合
  • ケモカイン以外の細胞遊走活性と抗細菌活性
4. フラクタルカインの炎症性疾患における役割【今井俊夫】
  • フラクタルカインとCX3CR1の特徴
  • フラクタルカインの細胞種選択的な機能と病態形成への関与
5. 内在性制御性T細胞とサイトカイン【瀬戸口留可,坂口志文】
  • 免疫寛容を能動的に維持する内在性制御性T細胞
  • 制御性T細胞とサイトカイン

2)造 血

1. 造血幹細胞のニッチとAngiopoietin-1/Tie2【新井文用,須田年生】
  • 造血幹細胞のニッチ
  • Tie2/Ang-1シグナリング
  • ニッチにおけるTie2/Ang-1シグナルの機能
2. 造血幹細胞のシグナル伝達【中島秀明】
  • Wnt
  • Notch
  • Angiopoietin-1
  • 造血幹細胞に作用するその他の因子
3. CXCL12(SDF-1)による造血制御【長澤丘司】
  • CXCL12(SDF-1/PBSF)とその受容体CXCR4について
  • 造血幹細胞,骨髄球系細胞のホーミングとCXCL12
  • 始原生殖細胞の生殖腺へのホーミングとCXCL12
  • Bリンパ球の形成とCXCL12

3)代 謝

1. アディポネクチンによる代謝調節【山内敏正,門脇 孝】
  • 肥満によるインスリン抵抗性惹起メカニズム
  • インスリン感受性調節における脂肪組織の役割
  • インスリン感受性が良好なPPARγヘテロ欠損マウスでアディポネクチンの発現が亢進している
  • アディポネクチン遺伝子は日本人2型糖尿病の主要な疾患感受性遺伝子である
  • アディポネクチンは白色脂肪細胞由来の主要なインスリン感受性ホルモンである
  • 肥満,2型糖尿病ではアディポネクチン不足が存在しインスリン抵抗性が惹起される
  • アディポネクチンは生体内で抗糖尿病因子として作用している
  • アディポネクチンによる脂肪酸燃焼促進メカニズム
  • アディポネクチン受容体のクローニング
  • .アディポネクチン受容体の細胞内情報伝達と機能解析
  • .AdipoR1・R2の発現制御とアディポネクチン感受性制御
  • .AdipoRを増加させる薬剤
  • .AdipoRのアゴニストの開発
  • .高分子量アディポネクチン測定の意義
2. 代謝系サイトカインMusclinとVisfatin【福原淳範,西澤 均,下村伊一郎】
  • マスクリン
  • ビスファチン
3. オンコスタチンMによる肝再生の制御【田中 稔,宮島 篤】
  • IL-6ファミリーサイトカインの受容体構造
  • 炎症におけるOSMの活性
  • OSMによる細胞内シグナル伝達系
  • OSMR KOマウスの解析
4. Wnt阻害因子sFRP-2と骨芽細胞分化【安倍正博,松本俊夫】
  • 骨芽細胞分化
  • Wnt経路と骨芽細胞分化
  • 骨髄腫骨病変とWnt

4)発 生

1. 発生・創傷治癒・癌転移におけるSTATの役割【宮城智恵美,山下 晋,平野俊夫】
  • STATシグナル:最も原始的な多細胞体から脊椎動物まで
  • オーガナイザーの細胞運動統御能とSTATシグナル
  • 細胞の可動性獲得機構:細胞自律的なSTAT3の役割にみる発生と癌の接点
  • 細胞の極性決定機構:細胞非自律的なSTAT3の役割
2. Nodalシグナル制御と前後・左右軸形成【吉場聡子】
  • Nodalシグナル伝達
  • 左右軸の形成
  • 前後軸の形成
3. 個体発生・形態形成におけるWntシグナル【稲永敏明,西中村隆一】
  • Wnt経路の概要
  • 初期段階への関与
  • 臓器形成への関与
  • 幹細胞と癌

5)神 経

1. 神経系と血管系の相互作用【向山洋介】
  • 末梢神経束由来VEGF-Aによる動脈系血管分化の誘導
  • アストロサイト由来VEGF-Aによる網膜血管発生
  • 成熟血管網形成の問題点と今後の展望
  • 幹細胞Nicheとしての血管内皮細胞
2. 脊髄損傷とサイトカイン【岡田誠司,中村雅也,岡野栄之】
  • 損傷脊髄の病態生理学と二次損傷
  • 損傷後急性期におけるサイトカインの動態と働き
  • 神経幹細胞の分化制御とサイトカイン
  • 脊髄損傷マウスモデルにおける抗IL-6レセプター抗体の効果
3. サイトカインと一次知覚神経【森川吉博】
  • 神経栄養因子と末梢神経
  • OSMとOSMレセプター(OSMR)
  • 神経系におけるOSMRの発現
  • 炎症性痛覚過敏とオンコスタチンM

第3章 サイトカインと疾患・臨床応用

1. IFNαの臨床応用【東條有伸】
  • IFNαの性状
  • 生物学的作用
  • 臨床上の有用性
  • 慢性C型肝炎
  • 慢性骨髄性白血病
  • 副作用
2. サイトカインmimeticsの臨床応用【松村 到,金倉 謙】
  • EPOミメティクス
  • G-CSFミメティクス
  • TPOミメティクス
  • その他のサイトカインミメティクス
3. FLT3と白血病【直江知樹】
  • 白血病において高頻度に見出されるFLT3変異
  • 構造解析で何が明らかになったのか?
  • FLT3のシグナル伝達
  • in vivoでの変異FLT3の意義
  • 白血病治療への応用:キナーゼ阻害剤・抗体の開発
4. サイトカインと体外造血幹細胞増幅【千葉 滋】
  • 造血系サイトカインによるHSC増幅
  • 中胚葉系の発生に関連する生理活性タンパク質
  • 血管内皮細胞に関連するサイトカイン
  • Notchシグナルの応用
  • Wntシグナルの応用
  • FGF-1によるHSCの量産
  • 細胞接着分子の関与
5. 抗IL-6受容体抗体による難治性免疫疾患の治療【西本憲弘】
  • IL-6が病態形成に関わる疾患がIL-6阻害治療の対象となる
  • ヒト化抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)
  • 関節炎に対するIL-6阻害治療の効果は当初の動物実験ではわからなかった
  • RAに対する抗IL-6受容体抗体治療
  • IL-6 阻害が治療効果を発揮するメカニズム
  • その他の炎症性疾患に対する抗IL-6受容体抗体治療
6. 樹状細胞の臨床応用〜抗原特異的免疫制御療法の開発へむけて【北脇年雄,門脇則光】
  • DC機能の多様性
  • サイトカインによるDCの分化の制御
  • DCのin vivo制御

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