Gノート:内科診療の幅がグンと広がる!⼼療内科的アプローチ〜これって⼼⾝症?患者さんの“治す⼒”を引き出すミカタ
Gノート 2020年12月号 Vol.7 No.8

内科診療の幅がグンと広がる!⼼療内科的アプローチ

これって⼼⾝症?患者さんの“治す⼒”を引き出すミカタ

  • 大武陽一,森川 暢,酒井清裕/編
  • 2020年12月01日発行
  • B5判
  • 180ページ
  • ISBN 978-4-7581-2350-1
  • 定価:2,800円+税
  • 在庫:予約受付中
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特集にあたって

特集にあたって

酒井清裕1),森川 暢2)
(近畿大学医学部 内科学教室心療内科部門/近畿大学病院 がんセンター 緩和ケアセンター1),市立奈良病院 総合診療科2)

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心療内科医の立場から

“心身症”の専門診療科としてこんなことを述べるのもどうかとも思いますが,「心身症の診療は難しい」と思います.そして,それには理由があります.非専門医の先生方からすると,

  • 心身症に対する診察技法を具体的に習う機会がなく進め方がわからない
  • 心身症にどんな薬剤が有効なのかがわからない…
  • 心身症診療で気を付けるべきポイントは?
  • そもそも心身症ってなんなの?

など,さまざまな疑問があると思います.

本特集はそういった悩みをもつ先生方の日常診療の一助になれば…と思い,企画したものです.読者の方が,各項目をご担当いただく先生方から上記の疑問への答えの一部を得ることができるよう,執筆依頼を行っております.

デカルト的心身二元論を元にめまぐるしい発展を遂げた西洋医学では,多くの治療法(薬物療法,外科的治療,放射線治療,心理療法などなど)が「医療者が患者に対して行うもの」として開発されています.すなわち,患者が自分で自分を治すという考え方はありません.それこそが現代医学における落とし穴だと思います.

心身症は,ものすごくわかりやすく述べるなら,「患者自身の悩みや,周囲との関係におけるストレスが,身体症状の発症・持続因子となっている」ものです.原因の主だったところは患者側の因子,しかも日常生活のなかにあるわけで,当然,それを医療者だけで改善させることは非常に困難です.

「患者自身が変わろうとし,それを医療者や周囲がサポートする」ことが心身症の病態を改善させる軸となります.要は,心身症の診療においては,「治療の主役は患者」で,「医療者はサポーター」が大前提なのです.そして,治らない状況を患者の責任だけにしないように,ともに悩み,支える視点が医療者にも求められます.

すべての病気に対して患者主導で…というわけではありません.ただ,患者主導でこそ改善しうる病態があるのも事実です.

医学・法・政治・宗教・人権などさまざまな分野において意味は異なり,複合的な意味をもつ言葉ではありますが,「主体性の獲得・維持」こそが心身症の診療において重要なキーワードであると個人的には思っています.

私自身,10数年にわたる医師人生のなかで,総合診療を学ばせていただいた経験があり,その際に心療内科の考え方やアプローチが,総合診療の医療現場にも有用であろうことは実感していました.本特集を通して皆さまに心身症の診かたをお伝えできることを心から嬉しく思います.ぜひとも心療内科の診療方法をご堪能いただけましたらと思います.

2020年10月 代表して 酒井清裕

総合診療医の立場から 〜心療内科と総合診療

総合診療では患者の物語である“Illness(病い)”に配慮するどころではなく,医師の物語である“Disease(疾患)”と同等に扱うことをその根本とするとされています.心身症はIllnessとDiseaseのギャップが顕在化する病態です.「検査をしても異常がない」と言うことは簡単ですが,だからといって患者さんのIllnessは癒されることはありません.

IllnessとDiseaseの溝を埋めるために総合診療医は生物心理社会的モデル(BPSモデル)を用います.心身症とはストレスが身体症状の発症および持続因子になっている病態ですから,総合診療医は心理社会的問題が身体症状として描出されていることを類推しシステムアプローチで介入を行います.心療内科医はBPSモデルを基本としつつも認知行動面についてさらに深掘りを行い,より患者さん自身が自律的に治療できるようにサポートする専門家です.ただ,総合診療医は良くも悪くもお節介で,あれやこれや言い過ぎてしまうところがあるのかもしれません.また精神面へのアプローチに関してはメンタルヘルスの専門家にはおよびません.心療内科医は私たち総合診療医と同じベースをもちつつ,違った専門性をもっていらっしゃいます.とても学ぶべきことが多いと感じます.

今回,編集をご一緒させていただいた酒井先生と大武先生は尊敬すべき医師であり,信頼できる心療内科医であり,総合診療のよき理解者です.先生方とともに,総合診療医そして一般内科の医師にとっても役に立つ心療内科の入門となる特集を編集できたことは光栄です.本特集が,皆さまの日々の悩ましい診療に役立つことを願っています.

2020年10月 秋を感じる奈良で 森川 暢

著者プロフィール

酒井清裕 Kiyohiro Sakai
近畿大学医学部 内科学教室心療内科部門/近畿大学病院 がんセンター 緩和ケアセンター
プロフィールはp.1263参照

森川 暢 Toru Morikawa
市立奈良病院 総合診療科
プロフィールはp.1325参照

〈共同編集〉

大武陽一 Yoichi Ohtake
伊丹せいふう病院 内科/堺市立総合医療センター 心療内科・緩和ケア科
プロフィールはp.1342参照

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内科診療の幅がグンと広がる!⼼療内科的アプローチ

これって⼼⾝症?患者さんの“治す⼒”を引き出すミカタ

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