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Script6「緊張のラボミーティング―議論に加わり,膨らませる」

【1】全文のネイティブ音声

 

【2】全文の対訳

クリスティーンは今日のラボミーティングで進捗を発表する予定になっている.彼女はラボメンバーに,ERAP(endoplasmic reticulum apoptotic protein)に関する研究の進展を説明するつもりである.

クリスティーンはERAPがどのようにUPR(unfolded protein response)によって制御されているか議論するつもりである.ラボメンバーが会議室に集まり,クリスティーンはPowerPointでプレゼンを始める準備ができている.

クリスティーン皆さんこんにちは.これからERAPに関する私の研究の進捗を詳しくお話したいと思います.気軽に質問を挟んでくださいね.

私はERAPがどのようにUPRによって制御されているか解析してきました.ご存知のとおり,UPRは3つのマスターレギュレーターによって制御されています.IRE1,PERK,そしてATF6です.私はβ細胞株INS-1 832/13におけるPERKのsiRNAによるノックダウン条件下では,ERストレス状態でのERAPの発現レベルが減弱していることを結論づけました.

ソーニャちょっと聞きたいんだけど,IRE1やATF6をノックダウンしてERAPの発現を測ったことはある?

クリスティーンとてもよい質問です.その実験は行っていまして,scramble siRNAを用いた対照サンプルとERAPの発現レベルに明確な違いは見られませんでした.

ウラノ先生今後を考えると,PERKによるERAP制御を確認するためには,他にどのような計画がありますか?

クリスティーンPERKノックアウトマウスの胚性線維芽細胞におけるERAPの発現レベルを測定しようと考えています.IRE1ノックアウトやATF6ノックアウトマウスの胚性線維芽細胞も同様です.またPERKを過剰発現させた際のERAPの発現も測ってみようと思っています.

先に進みますが,私はERAP発現においてeIF2αリン酸化に意味があるかどうかを知りたいと考えています.ERストレスによる活性化に伴い,PERKがeIF2αをリン酸化することからピンとくるはずです.リン酸化されたeIF2αは転写因子ATF4のような特定のmRNAの転写を促進する一方で,後半なタンパク質の翻訳を阻害します.私はINS-1 832/13細胞をeIF2αのリン酸化を誘導する化合物であるsalubrinalで処理しました.その結果,ERAP発現レベルの上昇が認められました.ここまでよろしいですか?

キャスリン別のことを急に思いついたのですが,コントロールとなる遺伝子は測定していますか?

クリスティーンはい.ATF4とCHOPの発現レベルを測りましたところ,salubrinal処理したINS-1 832/13細胞では両者とも上昇していました.salubrinalによるeIF2リン酸化レベルの上昇は,イムノブロットでも確認しています.

ウラノ先生PERKがERAP発現における転写因子を制御する可能性について,解析を始めたのではないかなと思っているのですが!

クリスティーンそうです.INS-1 832/13細胞でATF4とCHOPの両方をsiRNAでノックダウンしました.ATF4のsiRNAでは,ERストレス状況下でのERAP発現レベルの低下が見られました.ですがCHOPをノックダウンした時には何の違いも見られませんでした.ATF4-/-のマウス胚性線維芽細胞を使ったり,ATF4を過剰発現したりすることでこれらの結果を確認することは,やるべき事のリストに入っています.

ブライアンもう1つ質問があります.ATF4過剰発現によるERAPプロモーターの活性化を測定するため,ルシフェラーゼアッセイを行うのはどうでしょうか.次に,さらにATF4がERAPの転写因子であるかを確認するため,ERストレス条件下でのERAPプロモーターへのATF4のリクルートを,ChIP解析で測定すればいいんじゃないですか.

クリスティーンみなさん,アドバイスをありがとうございます.以前お話したように,私はERAP介在性のβ細胞死のメカニズムを研究し始めました.次の進捗報告では,それに関するデータを共有したいと思います.それでは皆さんさようなら,ご清聴ありがとうございました.

【3】発音のKEY POINTS「短縮形(Contraction)」

 

誌上留学!ラボ英会話のKEY POINTS Web留学編 目次

プロフィール

浦野 文彦(Fumihiko Urano)
1994年,慶應義塾大学医学部卒業.慶應大学医学部病理学教室にて小児病理学,分子病理学を学ぶ(秦順一教授指導,元国立成育医療センター総長).’98年からNew York University School of Medicine分子病理部門研究員(David Ron教授,現University of Cambridge教授),2002年よりUniversity of Massachusetts Medical School助教授,’08年より准教授,’11年永久教授権獲得,2012年7月よりWashington University School of Medicine, Samuel E. Schechter冠教授就任.’11年,American Society for Clinical Investigation会員に推挙される.小胞体ストレスが,老化,糖尿病,神経変性疾患に与える役割を研究しています.また,小胞体ストレス病(Wolfram syndrome)の患者,家族を支えるためのクリニックを運営しています .興味のある方は次のサイトをご覧ください(to wwwhttp://www.erstress.com , to wwwhttp://fumihikourano.blogspot.com/ & to wwwhttps://wolframsyndrome.dom.wustl.edu/).
Christine Oslowski
2007年,マサチューセッツ大学を卒業し,同大学医学部医科学博士課程に入学.2012年,浦野教授の研究室で博士号を取得し,現在はボストン大学医学部でポスドクとして研究に,また教育に励んでいる.
Marjorie Whittaker
ボストン大学でSpeech-Language Pathologyの修士号を取得後,耳の聞こえない子供達の発音を矯正する仕事に従事.その後,外国人エンジニア,医師などの発音矯正の授業,コンサルティングを行う,The Whittaker Groupを設立する.2006年には,Lynda Katz Wilner先生とともに,ESL RULESを設立し,英語の発音に関するセミナーを主宰し,『RULES』,『Medically Speaking RULES』,『RULES BY THE SOUND』,『Medically Speaking Idioms』といった本の出版をしている.詳細は,to wwwhttp://www.eslrules.comto wwwhttp://www.prospeech.comまたはまで.
プロフィールは実験医学掲載当時のものになります.

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