プロテオーム研究は今年で誕生から11年目を迎えたが,この10年間に累積した研究論文数は8,000を越え,さらに毎月約200報のペースで増加を続けている.
米国生化学分子生物学会(ASBMB)が発行する「Molecular and Cellular Proteomics」は,同会が発行する「Journal of Biological Chemistry」を上回るインパクトファクター(8.316)を獲得し,最近では,質量分析法によるタンパク質の解析が普及して「プロテオミクス」の言葉が論文のキーワードにも入らないほど一般的になっている.
11月中旬にRNAiに関する画期的な論文が発表され話題になった.目立ったのはNature誌のwebsiteに11日に掲載され,news and viewsでも大きく取り上げられた Alnylam社の論文である.Alnylam(アルナイラム)社はRNAi 研究をリードするノーベル賞受賞者であるPhillip A. Sharpを筆頭に,siRNA を開発した Thomas Tuschl,マイクロRNA分野をリードするDavid P. BartelやPhillip D. Zamore などが創設者として名を連ねる期待される RNAi 関連ベンチャー企業である.Alnylam社の報告によると,合成 siRNA に簡単な修飾を施す(コレステロール付加)だけで,マウスの内在遺伝子の制御が可能になった.DDS(ドラッグデリバリーシステム)も必要ないことから,siRNAが薬に一歩近づいたと言えよう.