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これからの査読の話をしよう:eLifeの新しい査読システムから考える,研究評価の理想像

対談:Alessio Bolognesi(Head of Journal Development, eLife) × 水島 昇(東京大学大学院医学系研究科)

対談収録日:2023年11月15日

10.18958/7427-00002-0001359-00

本誌でも2020年2月~10月号に連載したように,現在の査読システムはさまざまな問題を抱えている.例えば,論文の改訂に際して,査読者から膨大な追加実験を要求され,それに答えるために著者は多くの時間,研究費,労力を割き,かつそのために成果の公表も遅れてしまう.とはいうものの,ピアレビューに代わるよい仕組みがないということで,ほとんどのジャーナルが従来型査読システムを採用してきた.しかし,eLife誌は2023年1月より全く新しい査読システムに切り替えた.新しいモデルでは,パブリックに向けた論文評価コメントが公開されたり,出版社や査読者ではなく著者が出版をコントロールできたりと,斬新な点が多い.この過激とも言える変更は,すでに多くの議論を巻き起こしているところである.今回,eLife誌のHead of Journal DevelopmentであるAlessio Bolognesi博士の来日に際し,eLifeの新しい取り組みを中心に,査読システムや論文出版全般について対談する機会を得たので,ここで紹介したい.(水島 昇)

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