シグナル伝達の研究は新規因子同定などの「発見」の時代から,タンパク質の個体での機能解析など,よりマクロな視点での「機能解析」の時代へと変わりつつあります.そのなかで,時間的,空間的に制御されたシグナル伝達はいかにして細胞の極性や卵の不等分裂などを司っているのか,というメカニズムの解明が研究の主流の1つとなっています.本書では,今注目の細胞極性・運動制御のシグナル伝達を中心に,さまざまな臓器,器官が特定の時期に特定の部位で形成されるメカニズムの根本に迫り,さらに研究の最近の動向から疾病研究まで徹底解説しています.ぜひ御一読ください.
目次
概論 多細胞生物の情報伝達 竹縄忠臣
第1章 細胞内シグナル伝達の最近の動向
1.真核細胞のmRNA動態を制御する新規Gタンパク質ファミリー
荒木保弘,星野真一,堅田利明
2.三量体Gタンパク質を介するシグナル伝達とオーファンレセプター
黒瀬 等
3.Rhoファミリー低分子量Gタンパク質による細胞の運動と接着の制御機構
福原淳範,入江賢児,中西宏之,高井義美
4.神経系におけるチロシンキナーゼの役割 中澤敬信,山本 雅
5.細胞内シグナル伝達におけるプロテインホスファターゼの役割
−酵素の構造から細胞接着・個体発生まで
菊池 九二三,島 礼,田沼延公
6.カルシニューリン・NFATの制御システム 芝崎 太
7.情報伝達におけるドメイン構造の多様性と認識の普遍性 西村善文
8.MAPキナーゼカスケード 山中洋昭,西田栄介
第2章 細胞極性,接着,細胞運動制御のシグナル伝達
1 細胞極性と細胞局在
1.PAR-aPKCカセットと細胞極性形成 大野茂男
2.PDZドメインによる機能分子の局在制御と情報クロストーク
土田邦博,松崎高志,山川哲生,杉野 弘
3.酵母における細胞極性形成と非対称分裂の制御機構
入江賢児,多々内智史,松本邦弘
4.ショウジョウバエ卵母細胞における極性形成とRNA局在・翻訳調節
矢野 環,松居靖久
2 細胞接着の機序
1.細胞膜裏打ちタンパク質による細胞接着/細胞骨格とシグナル伝達の制御
木岡紀幸
2.カドヘリン・カテニン複合体とシグナル伝達関連因子
永渕昭良
3.ネクチン-アファディン系による細胞間接着の形成機構
山本泰憲,入江賢児,中西宏之,高井義美
4.細胞外マトリックス分子による細胞の接着と運動の制御
−ラミニン5を例として 苅谷慶喜,坪田芳明,宮崎 香
3 細胞運動の制御
1.WASPファミリータンパクによる細胞運動制御 山口英樹
2.Ephファミリーレセプターと細胞移動 田中正光,椙村春彦
3.細胞遊走におけるチロシンキナーゼPYK2の多様な役割 沖垣光彦
4.S1PレセプターEdgによるRhoファミリ−Gタンパクと
細胞運動の二方向性制御−血管形成との関連 多久和 陽
5.Smad2シグナルによる個体発生制御 野村政壽
第3章 発生・分化・形態形成に関わるシグナリング
1.RhoファミリーGTPaseのGEFによる線虫C. elegansの
excretory canalの発生制御 鈴木教郎
2.血液/血管系幹細胞の分化増殖制御 尾池雄一,浜田浩一,須田年生
3.造血幹細胞と間質細胞の細胞間相互作用
大久保 直,矢内信昭,帯刀益夫
4.形態形成におけるWntシグナル伝達経路の役割
小林雅史,岸田昭世,菊池 章
5.ステロイドホルモンレセプターによる発生分化の制御
加藤茂明,吉村公宏,中村 貴
6.視蓋/小脳の分化とFGFシグナル 佐藤達也,仲村春和
第4章 シグナリングと病態
1.アポトーシスの制御機構 田中信之
2.小胞体ストレスによる細胞死の分子機構と疾患 西頭英起,一條秀憲
3.リゾ脂質性メディエーターの機能と病態 岡島史和
4.老化と寿命制御におけるシグナル伝達 森 望
5.タンパク質の品質管理と神経変性疾患 田中啓二
6.Fcレセプターによる免疫制御機構 秋山健一,貫和敏博,高井俊行
7.糖尿病とシグナル伝達障害
門脇 孝,山内敏正,戸辺一之,寺内康夫,窪田直人