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「これって膠原病ですか?」一般外来からコンサルトされた症例を,専門医はどうやって見分けている?「自己抗体陽性」にだまされず,膠原病ミミッカーを見抜くヒントが詰まった1冊!プライマリ・ケアで役立つ,専門医の思考プロセスがわかる!
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第1章 自己抗体などの異常からの紹介
RF,抗CCP 抗体が陽性ですが,関節リウマチでしょうか?【吉田常恭】
MMP-3が上昇していますが,関節リウマチの可能性はありますか?【津島 浩】
抗核抗体が陽性ですが,全身性エリテマトーデスでしょうか?【久我大雅】
抗SS-A 抗体が陽性ですが,シェーグレン症候群でしょうか?【安部沙織,坪井洋人,松本 功】
ANCA が陽性ですが,ANCA 関連血管炎でしょうか?【廣部圭祐】
抗リン脂質抗体が陽性ですが,抗リン脂質抗体症候群でしょうか?【安田充孝】
抗ARS 抗体が陽性ですが,抗ARS 抗体症候群でしょうか?【三宅啓史】
抗セントロメア抗体が陽性ですが,全身性強皮症でしょうか?【長縄達明,安岡秀剛】
IgG4が高いのですが,IgG4 関連疾患でしょうか?【大庭悠貴】
RF,抗CCP 抗体が陰性の関節炎ですが,seronegative RAでしょうか?【髙梨敏史】
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第2章 一般検査異常からの紹介
この患者の腎機能障害は,膠原病が原因でしょうか?【柴田悠平】
この患者のHb 低下は,膠原病と関連がありますか?【司馬 熙】
この患者の白血球減少は,膠原病と関連がありますか?【和田 琢】
この患者の白血球増多は,膠原病と関連がありますか?【大庭悠貴】
この患者の血小板減少は,膠原病と関連がありますか?【永瀬芙美香】
この患者の低ALT血症は,膠原病と関連がありますか?【髙橋幹弘】
この患者のLDH 上昇は,膠原病と関連がありますか?【村上義彦】
この患者の低尿酸血症は,膠原病と関連がありますか?【矢野裕介】
この患者のALP上昇は,膠原病と関連がありますか?【三宅啓史】
この患者の低ALP血症は,膠原病と関連がありますか?【須永敦彦】
この患者のCK 上昇は,膠原病と関連がありますか?【猪塚真志】
この患者は補体低下がありますが,膠原病でしょうか?【小田修宏】
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第3章 症状からの紹介
発熱,フェリチン高値ですが,成人スチル病でしょうか? 【杉山隆広】
四肢浮腫,関節痛がありますが,関節リウマチでしょうか?【中村海人】
発熱,リンパ節腫脹がありますが,キャッスルマン病でしょうか?【山口裕之】
不明熱の患者のCT で大動脈の壁肥厚がありますが,巨細胞動脈炎でしょうか?【須永敦彦】
皮疹がありますが,皮膚筋炎でしょうか?【山口裕之】
両下腿が浮腫んで皮膚が硬化していますが,全身性強皮症でしょうか?【長縄達明,安岡秀剛】
日焼けがひどいと言いますが,全身性エリテマトーデスでしょうか? 【吉田知宏】
口内炎がひどいですが,ベーチェット症候群でしょうか?【髙橋幹弘】
手足が冷たいですが,レイノー症候群でしょうか?【安部沙織,坪井洋人,松本 功】
手のこわばりがありますが,関節リウマチでしょうか? 【矢野裕介】
ぶどう膜炎がありますが,リウマチ・膠原病でしょうか?【齋藤拓海】
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第4章 治療が開始された後の落とし穴
関節リウマチ治療開始後の関節痛が残存します.治療を強化したらよいでしょうか?【吉田常恭】
関節リウマチ治療中の発熱は何を考えるべきでしょうか?【谷村 瞬】
リウマチ性多発筋痛症のステロイド減量中に再燃をくり返します【吉田常恭】
BOOK REVIEW書評・読者の声
書評・読者の声
第1章-4 「抗SS-A抗体が陽性ですが,シェーグレン症候群でしょうか?」 特に抗Ro-52抗体と抗Ro-60抗体に関する解説がよかった.日本語の総説や海外の文献でも結局,どの測定方法でどの抗体を測ればよいのかやその意義に関しては記載が十分でないことも多かった.それに対して本稿ではFEIA法で52・60ともに測定できCLEIA法では60のみ測定していることがわかった.またRo-52単独陽性の意義に関して最近では英語論文はしばしば見かけるが日本語で総説や商用紙で見ることが少ないために初学者向けに解説があるのはとてもよかった.
鑑別診断に関しては全体に浅く少な目であったのでより掘り下げているともっと実践的になると感じた.特に第3章のレイノー現象やぶどう膜炎に関してはより鑑別診断が多岐にわたるため少数の特定の疾患を解説するよりも包括的なアプローチを提案した方がコンサルテーションを受けた時の参考にしやすいと思った.例えば自分ならぶどう膜炎に関しては病歴・身体所見で何を確認するのか,ルーチンの検査を何にするのか,どのようなカテゴリーに分類して鑑別をすすめるかが記載されている方が臨床に活かしやすいと感じた.
兼松 英資(東京都立多摩南部地域病院)
「やられた!!!」この本を読んだ時の,私の正直な第一印象である.
まずは,表紙タイトルである.「この患者さん リウマチ・膠原病かも?」というタイトルの最後の「かも?」が,小文字で縦書きになっており,膠原病というともすれば難解な病気を目の前にした時の,一般内科医の心細い気持ちを表している.しかし,そこからのタイトルは,「―と迷ったときの診断のカンどころ 専門医に聞きました!一般内科外来でよくある症例の見分け方」と力強く続き,「この本を読めば大丈夫!」という気持ちにさせてくれる.
次は,執筆陣である.この本の執筆者には,臨床の第一線で活躍している気鋭の若手医師から,大御所の教授らまでもが含まれている.しかも,彼らの所属は書いてあれど,肩書はない.編者の吉田常恭氏が,彼らに「肩書は関係なく,一膠原病内科医として書いてください」と頼んだということであろう.吉田氏はさらに,SNSを通じても広く執筆を呼びかけたという.膠原病内科医であれば,だれもが人に語りたくて仕方がない自分の診察の「ツボ」をもっている.その「ツボ」を吉田氏がうまく突いたと言えるだろう.吉田氏はさらに,読者に向かっても「次の書籍では,ぜひ皆様自身が執筆者として新たな知見を共有してほしい」と呼びかけている.新時代の到来を予感させる編集手法である.
タイトルと執筆者につられて,思わず最後まで読んでしまった.どの原稿にも,膠原病内科医であれば必ず遭遇したことがあるであろう「あるある」の臨床場面と,それを実際に経験してきたからこそ書ける珠玉のパールが描かれており,「うんうん」と頷きながら読んだ.この本を読んでいただければ,膠原病学がどれほど多様で,奥深い学問であるかを感じていただけるであろう.この本を読んで,膠原病についてさらに深く知りたくなった人には,同じ羊土社から出ている拙著「すべての臨床医が知っておきたいリウマチ・膠原病の診かた」も,おススメである!
この本がGノートシリーズにあるのもよい.評者自身も,最初は総合内科医として医師キャリアをスタートし,その後,膠原病内科の道を進むこととなった.その際,各分野の専門の先生方がエッセンスを書き下してくれるGノートは,進みたい診療科を決める「味見」に大変役立った.「私は,膠原病に興味があるのかも?」と思われる先生には,ぜひともご一読いただきたい本である.
橋本 求(大阪公立大学大学院医学研究科 膠原病内科学 教授)
「レジデントノート 2025年8月号」に掲載
Appendix補足・追加情報
発行後の追加・訂正情報
2章7 この患者のLDH 上昇は,膠原病と関連がありますか?
| 頁 | 場所 | 修正前 | 修正後 | 掲載 |
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