特集1
次世代シークエンス技術の最新動向

・＜概論＞DNAシークエンス解析技術の進歩と次世代シークエンス技術
　　養王田正文

1,000ドルゲノムの実現にはまだ多くの問題はあるが，10万ドル程度までにコストを下げることは十分可能だと考えてよいだろう．本稿では，次世代シークエンス技術の詳細については各企業による本特集の記事に譲ることとし，DNAシークエンス開発の進歩から次世代シークエンス技術開発の背景と課題などを解説する．

・ゲノム解析の革命的ツール：Illumina Genome Analyzer
　　登内未緒

ゲノム配列を大量かつ安価に読み取ることで，DNAシークエンサーは単なる配列読み取り装置から，汎用ゲノム研究ツールへと変身した．これまでゲノム配列決定，SNP探索，ゲノム染色体異常（逆位や転座），遺伝子発現解析，small RNA解析などといったアプリケーションには異なるツールを必要としてきた．Genome Analyzerは１台でこうした複数のアプリケーションをすべてカバーする非常に革命的なツールである．ここでは基本原理とアプリケーションについて説明する．

・超ハイスループットと高精度を実現した次世代シーケンサ　Applied Biosystems SOLiD™システム
　　稲恒美香

ヒトゲノム解析完了から4年経った2007年現在，世界中の研究者達が次世代シーケンサに大きな関心を寄せています．サンガー法の約数百の一のコストでヒトゲノムを解読できるといわれている次世代シーケンサは，その膨大な処理能力により，ゲノムシーケンシングのみならず遺伝子発現解析などといった幅広いアプリケーションに対応することができます．ここでは超ハイスループットと高精度を実現したアプライドバイオシステムズの次世代シーケンサSOLiD™システムの技術とその特徴をご紹介します．

・長鎖解読対応の大量処理型BioMEMS DNAシークエンサDeNOVA-5000HT
　　中村　伸

BioMEMS技術により384本の流路を集積したガラスプレートを用いて，従来のサンガーCE装置と比較して微量・高速・大量に解析処理できる装置を紹介する．サンガー法を原理としており，今回新たに開発したP3e泳動ケミストリーおよび独自のベースコール技術により従来と同等以上の高い信頼度の長鎖解読（QV30で800bp）を達成，しかも24時間全自動運転が可能．1日1台あたりQV20で4Mbpの処理能力を有し，トータルな解析コストの低減を実現した．