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2005年9-10月号
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(8月19日発行)
2005年9-10月号
(Vol.5 No.5)
定価 2,625円(税込)
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特集2
バイオリソースとしてのcDNAフル活用!!
企画/小原 收(かずさDNA研究所)
・<概論>cDNAプロジェクトの現状とcDNAクローンリソースの利用
長瀬隆弘 小原 收
分子生物学を研究する多くの人たちにとって,cDNA解析は「すでにできあがった技術」であった.しかし,ゲノム構造が次々に明らかにされ,包括的に1つの生物の遺伝子を調べてみたいという要求が強まってくると,cDNAを上手く活用できるかどうかが研究の成否の大きな分かれ目となる.本特集を通じて,cDNA解析とそのクローンリソースの現状に理解を深め,フルに活用していただきたいと願っている.
・ヒトcDNAを用いた網羅的タンパク質発現と機能解析アプローチ
五島直樹 木須康智 渡辺慎也 野村信夫
タンパク質の機能解析をゲノムワイドな規模で行うことを可能にする汎用タンパク質発現の基盤構築を行っている.ヒトcDNAのORFを網羅的にGateway化し,さまざまな発現系でタンパク質合成を可能にするものである.また,これと平行してヒトタンパク質の細胞内局在データなどの蓄積も行われている.さらに,コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて,同時に12,000種以上のタンパク質を発現させ,プロテインマイクロアレイの開発を行っている.現在,ヒトタンパク質全体を俯瞰する形でタンパク質機能解析を行える環境が整ってきたので報告する.
・cDNAを活用した植物機能ゲノミクス
青木 考 柴田大輔
高等植物研究においては,cDNAを利用したゲノムワイドな遺伝子機能解析のための手法が開発されてきている.完全長cDNAを利用する研究として,FOX Hunting System〔(株)インプランタイノベーションズ〕による網羅的遺伝子機能解析や,完全長cDNA過剰発現系を用いた代謝関連遺伝子の機能解析の例を紹介する.また,EST配列をもとにしたSNPの情報は,植物育種の分野で実用品種に利用されつつある.これらの情報を有効利用するためのウェブツールも整備が進められている.
・cDNAを利用した網羅的抗体作製法
島田希代 古閑 比佐志
かずさDNA研究所は開所以来,新規ヒト長鎖cDNA(KIAA遺伝子)の収集を行ってきた.現在までに取得したKIAA cDNAはすでに2,000を超えているが,その半数近くが未だ機能が確定されていない.われわれはマウスをモデル生物としてKIAA遺伝子の機能解析を進展させるため,マウスKIAA(mKIAA)遺伝子産物に対する網羅的抗体作製というプロジェクトを開始した.網羅的という観点からいくつかの点を工夫してその効率化を図ったが,本稿では全長配列解析に用いたcDNAクローンを有効利用した点を中心に紹介する.
・即発現可能なcDNAの入手法〜理研バイオリソースセンターを中心として〜
村田武英 横山和尚
「研究の過程で×××という遺伝子がin silicoで見つかったけど,これをどうやって入手すればよいのだろうか?」昨今のゲノムプロジェクトから生み出された情報から,興味ある遺伝子の配列はたちまちのうちに手に入り,比較的安価にPCRプライマーを入手できるので,わざわざクローンを入手しなくても実験ができるかのように思える.しかし,鋳型となるDNAなしにはPCRによる遺伝子増幅もできず,クローニング技術が発達したといっても発現ベクターへの再構築や組換えウイルスベクターの作製は厄介である.つくづく目的にあった「Ready-made」の発現ベクターはないものかと思うのである.
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