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Vol.6 節の使い方をマスターしよう!

No.1 関係代名詞・関係副詞の使い方のポイントはなに?

関係詞には,関係代名詞関係副詞とがある.これらは,名詞を後ろから修飾する形容詞節を作るために使われ,最も多いのが関係代名詞主格の用例である.

i) 関係代名詞whichとthatの使い分け

よく使われる関係代名詞にはwhichとthatがあるが,論文ではwhichは前にカンマが来る非制限用法例文41),thatはカンマのない制限用法例文42)に用いるという明確な使い分けがあるので注意しよう.

<例文41:関係代名詞which>

The vitamin D receptor, which is a member of the nuclear hormone receptor superfamily, is believed to mediate this activity.

(ビタミンD受容体 ?? それは核内ホルモン受容体スーパーファミリーのメンバーである ?? は,この活性を仲介すると信じられている)

<例文42:関係代名詞that>

The mechanisms that cause these translocations are not fully understood.

これらの転位置を引き起こす機構は完全には理解されていない)

ii) 前置詞+whichの使い方

上述の主格の用法以外に,前置詞+whichもしばしば用いられる.難しく感じるかもしれないが,これを使いこなせると書ける文章の幅が広がるので,是非,マスターしよう.論文でよく使われるのは,model in which例文43)やmechanisms by which例文44)などである.

<例文43:in whichの例>

These data support a model in which macrophage phagocytosis is coordinately regulated by both phospholipases.

(これらのデータは,マクロファージ貪食が両方のホスホリパーゼによって協調的に調節されるモデルを支持する)

<例文44:by whichの例>

Investigations of leprosy provide new insights into the mechanisms by which the innate immune system contributes to host defense against infection.

(らい病の研究は,自然免疫系が感染に対する宿主防御に寄与する機構に対する新しい洞察を提供する)

一方,of whichの使い方は,in whichやby whichとは違うので注意しよう.both of which, all of which例文45), one of whichなどがよく使われるが,それぞれの前にカンマが入ることに気を付けよう.

<例文45:of whichの例>

Treatment with TNF decreased the expression of cyclin D1, c-myc, Bcl-2, Bcl-xL, IAP1, IAP2, COX-2, and MMP-9, all of which are known to be regulated by NF-κB.

(TNFによる処理は,サイクリンD1,c-myc,Bcl-2,Bcl-xL,IAP1,IAP2,COX-2,MMP-9 ?? それらのすべてがNF-κBによって制御されていることが知られている ?? の発現を低下させた)

iii) 関係副詞の使い分け

関係代名詞以外に,関係副詞というものがある.wherewherebyなどが使われるが,頻度は前置詞+whichに比べるとかなり低い.whereはin whichに置き換えwherebyはby whichに置き換えて考えればいいであろう.cells where, conditions where, model where(例文46), mechanism whereby(例文47), model wherebyなどがよく用いられる.

<例文46|関係副詞:whereの例>

These data support a model where macrophage phagocytosis is coordinately regulated by both phospholipases.

(これらのデータは,マクロファージ貪食が両方のホスホリパーゼによって協調的に調節されるモデルを支持する)

<例文47|関係副詞:wherebyの例>

Investigations of leprosy provide new insights into the mechanisms whereby the innate immune system contributes to host defense against infection.

(らい病の研究は,自然免疫系が感染に対する宿主防御に寄与する機構に対する新しい洞察を提供する)

<ここがポイント>

  • 関係代名詞は,後ろから名詞を修飾する形容詞節を作るために使われる.
  • 関係代名詞whichはカンマを伴う非制限用法に,thatはカンマを伴わない制限用法に用いられる.
  • 前置詞+whichの使い方をマスターすると,書ける文の幅が広がる.

超基本の英文法-英語の語順に親しむ 目次

Vol.1 英語の語順に対する理解を深めよう!!
No.1 英語は語順どおりに解釈する!
No.2 文の冒頭は,イントロか主語のどちらかで始まる!
Vol.2 英文構造の特徴はこれだ!!
No.1 後ろから説明する英語の不思議!
No.2 英文は,たった4つの品詞で成り立っている!
No.3 ミステリアスな副詞句!
Vol.3 論文でよく使われる文型をマスターしよう!!
No.1 論文英語は5文型よりも簡単!
No.2 自動詞+前置詞+ 名詞や他動詞+前置詞+名詞は,他動詞+目的語に似ている?
Vol.4 主語の見極めがポイント!
No.1 主語はどれ?
Vol.5 不定詞・動名詞・現在分詞の使い分けをマスターしよう!
No.1 不定詞ってどう使う?
No.2 動名詞と現在分詞はどう違う?
No.3 現在分詞/動名詞とto不定詞はどう使い分ける?
Vol.6 関係詞の使い方をマスターしよう!
No.1 関係代名詞・関係副詞の使い方のポイントはなに?
No.2 that節の使い方のポイントはなに?
No.3 まとめ(最終回)New

プロフィール

河本 健(Takeshi Kawamoto)
広島大学ライティングセンター特任教授.広島大学歯学部卒業,大阪大学大学院医学研究科博士課程修了,医学博士.高知医科大学助手,広島大学助手,講師などを経て現職.専門は生化学・分子生物学. 長年の研究経験を生かして,広島大学その他で英語論文の執筆支援等を行っている.
著書一覧
  • ライフサイエンストップジャーナル300編の「型」で書く英語論文
  • トップジャーナル395編の「型」で書く医学英語論文
  • ライフサイエンス英語表現使い分け辞典 第2版
  • ライフサイエンス英語動詞使い分け辞典
  • ライフサイエンス組み合わせ英単語
  • ライフサイエンス論文を書くための英作文&用例500
  • ライフサイエンス文例で身につける英単語・熟語
  • ライフサイエンス論文作成のための英文法
  • ライフサイエンス英語類語使い分け辞典

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