科研費獲得のための応募戦略
このコーナーについて
9月に入ると研究者の最大の関心事の1つ,科研費の公募が開始されます.いうまでもなく,「科研費の獲得」は研究継続のための手段であり目的ではありません.ですが,科研費に採択されることが何より難しいという声を多数いただきます.そこでこのウェブコーナーでは,10万人以上が活用してきた科研費応募のバイブル「科研費獲得の方法とコツ」(児島将康/著)から一部を抜粋・改変し,初めて科研費を申請する研究者,科研費申請に不慣れな研究者へ向けて,応募に際して考えておくべきことを全6回にわたってご紹介いたします.
第5回 審査委員は誰?──審査区分を選ぶにあたって②
その年の審査委員が誰なのかを知る方法はない.審査委員の名前は審査終了の2年後に公表されている.
日本学術振興会の科学研究費助成事業のホームページで,左側のメニューの「審査・評価関係」から「審査・評価について」→「科学研究費委員会」とたどっていくと「審査委員名簿」がある.第1段審査委員と第2段審査委員の名簿をダウンロードできる(図).
約15年分の審査委員が公表されているので大いに参考になる.何年か分のリストを見ると,自分の知り合いの先生が応募する審査分野にいるかどうかがわかる.いうまでもなく,審査委員があなたの申請書を採択するか却下するかを決める.だから審査委員と知り合いで仲がよいことは有利な印象があるかもしれない.総合評点が1点多いかどうかが採択か不採択かの結果に大きな影響を与えるからだ.ただし,申請書の書面審査は4ないし6〜8名の審査委員によって行われるので,たとえ1人の審査委員がよい点数を付けても,後の審査委員の評価がよくなければ採択される可能性は低くなる.
審査委員の調査のポイント
- 応募する分野の審査委員は誰なのか,過去のデータから調べておこう.
※本コーナーは『科研費獲得の方法とコツ 改訂第5版』(2017年8月発行)から抜粋したものです.記載内容は発行時点における最新の情報に基づき,正確を期するよう,最善の努力を払っております.しかし,本記事をご覧になる時点において記載内容が予告なく変更されている場合もございますのでご了承ください.
科研費獲得のための応募戦略 目次
- 第1回 応募種目の選び方 (2017/08/01公開)
- 第2回 審査区分(応募分野)の選び方 (2017/08/08公開)
- 第3回 アイデアのまとめ方のポイント (2017/09/08公開)
- 第4回 採択課題の調査のポイント (2017/09/20公開)
- 第5回 審査委員は誰?〜審査区分を選ぶにあたって② (2017/10/06公開)
- 第6回 研究パートナー(共同研究者)の選び方[最終回] (2017/10/13公開)