第5回 審査委員は誰?(2023.07.14更新)

 その年の審査委員が誰なのかを知る方法はない.しかし,n年度公募の審査を行った審査委員について,n年度公募の応募研究課題の審査を行ったすべての審査委員の任期が満了する年度(n+2年度)に日本学術振興会が公表することになっている.例えば令和4年度公募の審査委員は令和6(4+2)年度に公表される.

 日本学術振興会の科学研究費助成事業のホームページで,左側のメニューの「審査・評価関係」から「審査・評価について」→「科学研究費委員会」とたどっていくと「審査委員名簿」がある.第1段審査委員と第2段審査委員の名簿をダウンロードできる(図1).

図1 審査委員名簿のホームページ画面

図1 審査委員名簿のホームページ画面

過去の審査委員名簿から,誰が審査委員になっているのか知ることは非常に役に立つ.

 20年分近くの審査委員が公表されているので大いに参考になる.何年か分のリストを見ると,自分の知り合いの先生が,応募する審査区分(応募分野)にいるかどうかがわかる.いうまでもなく,審査委員があなたの申請書を採択するか却下するかを決める.だから審査委員と知り合いで仲がよいことは有利な印象があるかもしれない.総合評点が1点多いかどうかが採択か不採択かの結果に大きな影響を与えるからだ.ただし,申請書の書面審査は4ないし6~8名の審査委員によって行われるので,たとえ1人の審査委員がよい点数を付けても,他の審査委員の評価がよくなければ採択される可能性は低くなる.

※本コーナーは『科研費獲得の方法とコツ 改訂第8版』(2022年7月発行)から一部抜粋・改変し,掲載したものです.記載内容は発行時点における最新の情報に基づき,正確を期するよう,最善の努力を払っております.しかし,本記事をご覧になる時点において記載内容が予告なく変更されている場合もございますのでご了承ください.

科研費獲得のための応募戦略:目次

児島 将康

(久留米大学客員教授,ジーラント株式会社代表取締役)

書籍「科研費獲得の方法とコツ」「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」著者.毎年の科研費公募シーズン前後に20件近くの科研費セミナーで講演し,理系・文系を問わず申請書の添削指導を行っている.令和6年4月より研究者を支援するジーラント株式会社(https://g-rant.org/)を立ち上げ,活動している.

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