劇的に診断力上がる!
診断推論×ロジックツリー

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診断がつかないときは
Time-based logic treeで考えよう

2022年8月26日 公開

はじめに

前回まではロジックツリーの作り方やそれを意識した問診方法について述べてきました.ロジックツリーはその時点の所見から考えうる鑑別診断や選択肢を網羅する戦略ですが,それだけでは完璧ではありません.今回はロジックツリーをさらに活用するための方法を紹介します.

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診断推論はロジックツリーだけでは完璧にできない

研修医

研修医:うーん…….この腹痛で来院した患者さん,採血やCTでも特に原因がはっきりしないなあ.とりあえず痛み止めを処方して「経過観察」ってカルテに書いて帰そうっと.

指導医先生

指導医:ちょっと待った!

研修医:うわっ.指導医先生!突然現れたんでびっくりしました.

指導医:君は「経過観察」という用語をどのような意味で使っているかな?何も投薬しなくてよい帰宅させる患者さんに「特に何もしない」とカルテに書く代わりの言い訳的な便利な用語として「経過観察」と条件反射のように毎回書いてはいない?

研修医:ギクッ!いや……確かに最近慣れてきてそんなところがあるかもしれません.

指導医「経過観察」とは本来,その患者さんの“経過”を“観察”して診断をつける,あるいは自然な改善が望める疾患であるなどの意味をもった時間を味方にした診断の戦略の1つなんだ.例えば,心窩部痛で受診して胃腸炎の診断で帰宅した患者さんが翌日に右下腹部痛で再受診した際には虫垂炎と診断がつくように,時間の流れとともに病気はその形を明確にしていく. 後医は名医という言葉があるように,まさしく時間の経過はどんな優れた医師の診断推論よりも勝ることがあるんだ.

研修医:時間経過を味方につける…,ですか.それっていつもロジックツリーで診断をつけられるとは限らないってことですか?

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