劇的に診断力上がる!
診断推論×ロジックツリー

8

浮腫編 ❷
直感か?分析か?
局所性浮腫をMECEに診断する

2023年1月27日 公開

はじめに

浮腫編第2回のテーマは局所性浮腫です.
どのような思考の道筋を辿っていけば浮腫の原因を適切に診断できるのか,前回に引き続きロジックツリー診断推論を用いて浮腫の鑑別診断のすすめ方を学んでいきましょう.

1 / 2ページ

片側性の下腿浮腫の患者さんが来院した

(休憩室にて)

専攻医さん

専攻医:はあ….

研修医

研修医:あれ?専攻医先生,今日も何か考えごとをしてるみたいだな.いきなり後ろから声をかけてビックリさせちゃおうっと.ぷぷぷ.

指導医先生

指導医:おや,研修医君!

研修医:うわッ!ビックリした!いきなりソファーの下から登場しないでくださいよ.

指導医:ボールペンをソファーの下に落としてしまってね.今,探していたところだったんだ.ところで今日僕はこれから学会で不在になるから今日の外来は専攻医先生と2人で頑張ってね.

研修医:はあ,わかりました.

専攻医:あら,なにやってるの研修医君.総合内科外来にすでに患者さんが来てるわよ.だらだらしていないで早く予診をとってきてちょうだい.

研修医:了解しました(専攻医先生は人使いが荒いなあ…).

(総合内科外来にて)

症例

70歳代女性.3週間ほど前からの左下腿の浮腫を主訴に来院した.既往歴に糖尿病と変形性膝関節症があり,シタグリプチン,ピオグリタゾン,ロキソプロフェンを内服している.
体温 36.1℃ 血圧,142/78 mmHg,脈拍数76回/分,SPO2 98%(room air)

研修医:高齢女性の浮腫ですね.内服薬は……ふむふむ.わかりましたよ!

専攻医:待って,どうせ研修医君のことだから薬剤性で決まりとか言うんでしょ.確かに経口血糖降下薬のピオグリタゾンやNSAIDsのロキソプロフェンはナトリウムの再吸収を亢進させて浮腫を起こすことがあるけれど,機序からいえば両側性の浮腫になるはずだから今回のように片側性の浮腫を起こすとは考えにくいわ.ちなみにACE阻害薬による血管性浮腫であれば薬剤性でも片側性浮腫はありうるけれど眼瞼や口唇,舌や喉などの頭頚部領域の局所性浮腫が多い印象ね.

研修医:そ…,そうですか.じゃあ,糖尿病性のネフローゼ症候群や心不全とかも片側性浮腫の原因としてはあまり考えにくいですね.

専攻医:浮腫を悪化させている一因になっている可能性はあるけれど,ほかにも片側性浮腫をきたすような原因があると考えたほうがいいわ.指導医先生もいないし,今回は私たちだけでロジックツリーを作っていきましょう.

本コンテンツの続きをご覧いただくためには「羊土社会員」のご登録が必要です.