マイクロアレイは一度に数千〜数万の遺伝子の変化を検出できる革新的なゲノム解析ツールとして1990年代半ばに登場した.2002年に出版されたマイクロアレイのテキストには,“all human illness can be studied by microarray analysis, and the ultimate goal of this work is to develop effective treatments or cures for every human disease by 2050”の一文が記述されている.癌はマイクロアレイ解析の中心的な対象であり,その治療や予防のブレイクスルーとなる遺伝子情報を提供してくれものと多大なる期待が寄せられた.2007年2月6日には,米国食品医薬品局(FDA)によって乳癌の予後予測を目的としたマイクロアレイの診断デバイスMammaPrint®の米国での発売が承認された.これはマイクロアレイの体外診断法としての最初の認可である.2005年からFDA主導で組織されたマイクロアレイの品質管理プロジェクト(MAQC)もフェーズ1を終了し,マイクロアレイ解析による遺伝子発現プロファイルの再現性が確認された.今後10年間で,慎重な対応のもとマイクロアレイは,乳癌だけでなく他の癌においても予後に加え薬剤応答性や副作用を予測する癌のテーラーメイド医療の診断法として臨床現場で活用されるのは疑いのないところである.