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(10月20日発行)
2005年11-12月号
(Vol.5 No.6)
定価 2,625円(税込)
バイテクノロジージャーナル最新号詳細

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目次
特集
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特集
タンパク質相互作用を解明する最適メソッド
タンパク質複合体の定量解析/酵母ツーハイブリッド法/FRETによるリアルタイム検出/相互作用ネットワークの網羅的解析
企画/竹縄忠臣(東京大学医科学研究所)

・<序>タンパク質相互作用研究のストラテジー
  竹縄忠臣
分子間相互作用は生命の基本原理で,酵素反応や情報伝達などのみならず細胞や生体をつくる構造体の形成においても重要である.特異性をもったタンパク質−タンパク質相互作用やタンパク質−低分子化合物相互作用はあらゆる生命現象に関与しているので,これらの相互作用を明らかにすることは,生命現象の原理,機序を知るうえできわめて重要である.さまざまな疾病もタンパク質の変異や欠失または構造変化によって起こる分子間相互作用異常によって生じると言っても過言ではない.本特集では分子間相互作用を研究するさまざまな方法についてその長所,短所が解説されている.今後,益々さまざまな方法を用いてさまざまな分子の相互作用の解明が進められると考えられる.
・タグタンパク質を用いた複合体の精製と質量分析計による同定〜LC-MSシステムを用いたタンパク質複合体の定量解析〜
  長野光司
大部分のタンパク質は複合体を形成して機能していることが明らかとなっていることから,機能単位として働くタンパク質複合体の構成成分を決定する必要性が高まっている.タグタンパク質を用いて複合体を精製し,質量分析計によって高感度にタンパク質を同定することによって,1対1のタンパク質間結合だけでなく,複合体の構成成分をまとめて決定することができる.また,LC-MSを用いた定量化法を組合わせて,タンパク質複合体の時間的変動を解析することも可能となっている.
・酵母ツーハイブリッド法〜インタラクトームからディスラプトームへ〜
  濱里史明
酵母ツーハイブリッド法は,分子生物学者が手軽に行えるタンパク質間相互作用スクリーニング手法として広く普及し,ハイスループット化によってゲノムワイドでの相互作用ネットワーク解析にも活躍している.今後は,タンパク質の機能を阻害して表現型への影響を観察する機能バリデーション,あるいはそれを網羅的に行うディスラプトーム解析などへの応用が考えられる.
・蛍光イメージング〜FRETによるリアルタイムでの相互作用検出〜
  山口英樹
さまざまな蛍光タンパク質,蛍光分子の発見とその応用は多くの新しい知見を生物学にもたらしている.近年,これらの蛍光分子と蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer:FRET)を組合わせたイメージング法の開発と顕微鏡技術の進歩により,生きている細胞内でタンパク質の相互作用,構造変化をリアルタイムでモニターすることが可能になった.
・タンパク質相互作用ネットワークの網羅的な解析
  夏目 徹
人間社会と同じように,タンパク質も「1人では何もできず」,複雑な生体システムの中において単独で機能し目的を果たすことは少ない.大概のタンパク質は組織・グループに属しネットワークを形成しているのである.そんな理由から,タンパク質相互作用ネットワーク解析がタンパク質の機能解明に最も貢献する研究手法であると,ほぼ断言することができる.そしてネットワークを包括的に俯瞰することが可能となれば,おのずと疾患の発症メカニズム,新規治療法の開発・新薬ターゲットの発見とバリデートへとつながっていくのである.ヒト完全長cDNAを使った大規模ネットワーク解析が現在進行中である.その苦悩と進展を述べるとともに,大規模研究の進め方,実験に対する考え方を概説する.
・タンパク質−脂質間結合の検出
  古谷昌広,伊藤俊樹
多くの疾病に関与する脂質シグナリングには,タンパク質と脂質との直接的な相互作用,すなわちタンパク質―脂質間結合が大きく関与している.現在までにさまざまなタンパク質―脂質間結合実験法が考案されており,それぞれの特徴によって使い分けられている.本稿では現在最も広く行われている脂質結合検出法として1:dot blot法,2:ELISA法,3:リポソーム共沈法を紹介し,さらに最新実験法として4:DPI(dual polarization interferometer)を用いた方法を紹介する.

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