スマホで読める実験医学
550円

代謝の能動的制御:冬眠と日内休眠

An active regulation of metabolism: hibernation and daily torpor
砂川玄志郎
Genshiro A. Sunagawa:Laboratory for Hibernation Biology, RIKEN Center for Biosystems Dynamics Research(理化学研究所生命機能科学研究センター冬眠生物学研究チーム)
10.18958/7175-00001-0000317-00

哺乳類は冬季や飢餓などの危機的状況に直面すると,能動的に代謝を制御し酸素や栄養分の消費量を低下させ,結果として低体温を呈する種が存在する.このような低代謝状態を休眠とよび,数カ月に及ぶ休眠を「冬眠」,数時間の休眠を「日内休眠」とよぶ.休眠の制御は体温との密接な関連から中枢性の制御機構が想定されているが全貌は解明されていない.また,末梢組織が正常時よりも少ない代謝で傷害を受けずに生存できる原理もわかっていない.休眠の原理解明に必要な技術として,①任意のタイミングにおける休眠誘導,②遺伝子改変が可能な休眠モデル動物,③休眠タイミングの正確な推定があげられる.

休眠,冬眠,日内休眠,能動的低代謝,QIH

この記事は有料記事です

(残り約6,900文字)

  • 【スマホで読める実験医学】代謝の能動的制御:冬眠と日内休眠
    550円