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EVEが駆動する哺乳動物胚の発生制御機構

The role of EVE in regulating host gene expression & ontogeny -beyond threats, and be beneficial to host genome integrity-
坂下陽彦,石津大嗣
Akihiko Sakashita/Hirotsugu Ishizu:Keio University School of Medicine(慶應義塾大学医学部)
10.18958/7323-00001-0000570-00

iPS細胞やES細胞がもつ多能性とは異なり,全能性とは「ひとつの細胞から胎盤を含むすべての細胞種に分化し個体を形成する能力」を指す.われわれヒトを含む哺乳動物においては,精子と卵子の受精によって誕生する受精卵が唯一全能性を保有する細胞である.興味深いことに,有胎盤類の共通祖先で感染し,マウスゲノム内で独自の進化を遂げたEVEの一種,MERVL(murine endogenous retrovirus type-L)がマウス受精卵特異的に高発現することが2000年代初頭から注目されており,宿主の全能性制御への関与が示唆されていた.本稿では,MERVLが担保する個体発生制御機構について,われわれの最新の研究成果を交えて紹介する.

内在性レトロウイルス,レトロトランスポゾン,全能性制御,初期胚発生

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