ビタミンD

1920年代に「くる病」を防止する因子として食物中から発見された脂溶性ビタミンで,ステロイドホルモンの一種である.ビタミンDの構造を決定したWindaus教授は '28年にノーベル化学賞を受賞している.ビタミンDは血液中ではVBPというキャリアータンパク質に結合して循環しているが,細胞に対してはVDRという核内受容体を介して細胞に転写を誘導する機能がある.ビタミンDはこの作用により,腎臓尿細管での再吸収,腸管からの吸収,骨からの吸収により,血中カルシウムを上昇させる.ビタミンDはコレステロールから合成され,肝臓,腎臓で水酸化を受け,活性型になる.紫外線により皮膚で構造活性化が誘導されるので,日照時間が少ない地方ではビタミンD欠乏症である「くる病」が多発していた時代があった.くる病を予防するため,米国では牛乳にビタミンDを添加することが義務付けられている.活性化されたビタミンDは約10時間の半減期を有し,腸管,尿細管,骨からのカルシウムの吸収を引き起こす.半減期が長いことから,最も強力なカルシウム上昇機能をもつホルモンである.

実験医学 2007年8月号 Vol.25 No.12

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