抗体に対する抗体

抗体分子は抗原に結合する部位(V領域)と抗体のほかの生理機能を司る部位(C領域)から成る(図参照).V領域の一部はCDRとよばれる,抗原に直接接触するアミノ酸配列領域を有する.このCDRはリンパ球ごとに異なる遺伝子変異を起こしており,そのアミノ酸配列が異なるV領域をもつ抗体を産生する.すなわち,この部位は常に新しくつくり出されるアミノ酸配列のため,免疫学的には非自己の構造となる.この抗体の出現はこの抗体の非自己の部分に対する抗体を新たに産生誘導することになり,したがって「抗体に対する抗体」がつくり出される.このV領域の非自己部分を免疫学ではイデオタイプとよぶ.またこの抗体のネットワークはJerne, N. K.のネットワーク理論として1974年に提唱され,その業績で彼はノーベル医学生理学賞を受賞している.

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