劇的に診断力上がる!
診断推論×ロジックツリー

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発熱編 ❷
その発熱,もしかして腫瘍熱?

2022年10月28日 公開

はじめに

発熱編第2回目のテーマは腫瘍熱についてです.読者の皆さんのなかには「腫瘍熱は画像検査で癌を疑う所見を探すだけだから簡単でしょ?」などと考えていらっしゃる方はいないでしょうか?今回は画像検査で診断がつきにくい腫瘍熱や,どのようなポイントで腫瘍熱を疑うのかなどについて改めて学んでいきましょう.

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発熱が続く患者さんが来院した

― 総合内科外来に紹介状を持参した発熱患者が来院した.

専攻医さん

専攻医:さあ,研修医君.今日も発熱の患者さんが来たから一緒に診察に行くわよ.

研修医

研修医:任せてください!今回もロジックツリーでバシッと診断つけちゃいますよ!

症例

70歳代男性.3か月ほど前に38℃台の発熱があり近医を受診し総合感冒薬を処方されたところ数日で解熱した.1カ月ほど前からも同様に発熱があり同院を再診して抗菌薬処方で経過をみられるも解熱せず,数日前からは労作時の息切れと両上腕や大腿部の疼痛が出現したため,リウマチ性多発筋痛症の疑いがあるとして本日総合内科外来紹介受診となった.既往歴は帯状疱疹のみで普段は常用薬はないが,今回の件で前医よりセフカペンピボキシルとアセトアミノフェンの内服薬が処方されている.
体温 38.2℃,血圧 134 /58 mmHg,脈拍数82回/分,SPO2 97%(room air)

研修医:ふむふむ,なるほど.前医からの紹介状に病名が書いてあるので,今回の診断はリウマチ性多発筋痛症で決まりですね!……って,これまでの僕とは一味違いますよ.ロジックツリーを学んできましたからね.先入観をなくして他の鑑別疾患の可能性も検討してみます.

専攻医:すごいじゃない!研修医君!

指導医先生

指導医:うん,研修医君もだいぶ進歩してきたみたいだね.

研修医:いやぁ,それほどでもないですよ!ところでリウマチ性多発筋痛症ってどんな病気ですか?

指導医専攻医:(ガックリ)

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