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最新号(8月20日発行)
2007年9-10月号
(Vol.7 No.5)
定価 2,625円(税込)
バイテクノロジージャーナル最新号詳細

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目次
特集
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特集
効果的な遺伝子導入のためのコンストラクトの作製法
定量性・安定性を備えたベクターの構築
企画/今本文男(大阪大学微生物病研究所)

・<概論>生細胞への遺伝子導入技術の開発動向〜活性トランスゲノムの構築
  今本文男
2〜3種類の遺伝子を共導入して,これらのタンパク質を低レベルで,また相互に異なるレベルで産生させることは,細胞内プロテオーム構成を大きく損なわないで本来のタンパク質動態を再現するのに役立つであろう.一般に,細胞内ではそれぞれのプロテオーム構成因子の相対レベルはほぼ一定に保たれて安定しており(ホメオスタシス),1つの遺伝子の突出した大量発現は,プロテオーム構成を乱して細胞には迷惑なことが予想される.実際に,重要な働きをするタンパク質を過剰発現させると,細胞が死に至る例が多く知られている.前述のマルチ遺伝子発現クローンを染色体上の1カ所へ導入した場合には,2〜3種類の遺伝子を既知の配置構成で(発現量が制御されて)導入したことになる.
・複数種遺伝子の共導入系の構築と発現量の調節,および染色体特定部位への導入
  曽根岳史,西海史子,佐々木ゆかり,岸根弘依,今本文男
個本稿では複数種類の遺伝子を等コピーで生細胞へ導入する技術を紹介し,この遺伝子カセットを染色体へ導入して安定形質転換細胞株を作製する意義を解説する.それぞれの遺伝子に蛍光タンパク質タグを接続してマルチカラーイメージングを行い,それらの発現レベルを調節する手法を述べる.また,染色体上の特定部位へ効率よく遺伝子を導入する方法を解説するとともに,最近の新たな部位特異的遺伝子導入法を実際のデータを含めて説明する.
・トランスジーンのサイレンシングを抑制するインスレーター配列とその応用
  赤坂甲治
トランスジーンのサイレンシングは,遺伝子治療や有用動植物の作出において乗り越えなくてはならない大きな壁である.本稿では,種を超えて機能するウニゲノム由来のArsインスレーター(ArsI)の抗サイレンシング効果の実例と,その分子機構・未解決の問題について紹介し,新たな高機能インスレーターのスクリーニングシステムについて提案する
・インスレーター/バウンダリー配列を用いた複数の導入遺伝子を安定的に発現させるシステム
  前島一博,矢幡一英,今本文男,今本尚子
細胞・組織・個体における導入遺伝子の安定的な発現は,単に遺伝子機能を解析するのみならず,遺伝子治療などを含めた医学臨床応用においても非常に大切である.われわれはゲノム上でパーティションの役割をするインスレーターを用いて,タンデムにつないだcDNAの安定発現システムを構築した.このシステムを含めたインスレーターの応用をヒトゲノムの構造という観点から概説したい.
・ヒト人工染色体ベクターによるトランスジーンの活用
  池野正史
動物細胞を用いたトランスジーンの発現には困難が伴う.本稿では,ヒト人工染色体ベクターをツールとした遺伝子発現法を紹介する.人工染色体ベクターは細胞核内で安定に存在する独立ミニ染色体であり,これを目的の細胞へ導入することにより,さまざまな細胞に遺伝子発現のためのプラットフォームを新たに築くことができる.このプラットフォームを利用した遺伝子の制御発現の可能性について述べる.
・幹細胞治療における遺伝子導入の課題と展望
  金田安史
遺伝子治療においては導入遺伝子の発現を長期化し,制御していくのかが大きな課題であり続けている.一方,再生医療においては,幹細胞,特に体性幹細胞を用いた細胞療法が治療効果の点で評価されてきた.これら両者の研究の流れは自然と一体化し,幹細胞の遺伝子操作をいかに安全で有効に行うかが,治療法のない遺伝性疾患の治療の鍵を握っているという認識に至っている.そこで本稿では,幹細胞を用いた疾病医療における遺伝子導入の必要性と課題,将来展望について紹介する.

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