某大学A教授は,磁力線を使って溶液中に存在する化合物を分離する方法を見出した.今後,A教授は分離の機構を解明していくつもりだが,何らかの分離装置として実用化できそうな気がするため,現時点で特許出願を行いたいと思っている.
特許出願の要否と内容を検討するには,まず技術移転を受けてくれそうな企業を探すことから始めるのがよい.研究者は自らの研究領域に興味をもつ企業名を複数あげることができるはずである.このケースでは,例えば分離装置の製造企業が候補となるだろう.
某大学のB教授は,これまで感染症αの治療薬として用いられていた化合物Xが,in vitroの実験で癌細胞の増殖を抑制することを新たに見出した.作用機序は不明だが,数種類の癌細胞株での効果などから,従来の抗癌剤の作用と違う可能性が示唆された.
このケースでは候補企業や製品はある程度具体的といえるため,特許出願については,特許性(特許で保護できる権利範囲),実証データの充実度,その他周辺の状況が重要になってくる.
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