バイオテクノロジージャーナルオブジェ
トップページバックナンバー本誌の特徴書籍購入について
メニュー区切り
トップページ > 本誌のご案内 > 2006年9-10月号 > サイエンス・トピックス
最新号(8月18日発行)
2006年9-10月号
(Vol.6 No.5)
定価 2,625円(税込)
バイテクノロジージャーナル最新号詳細

 お買い物カゴ


目次
■ ニュース
サイエンス・トピックス
■ 実験技術
■ 研究戦略
■ 製品紹介
■ コラム&レポート
■ 製品・サービス情報

サイエンス・トピックス

[遺伝子工学]G. M. Churchによるゲノム解析3部作 Episode 3 “1細胞ゲノム解析”
環境に存在する多くの微生物は培養することが不可能なので,地球上のほとんどの微生物が研究されていないといっても過言ではない.そこで,環境中の微生物の集団を1つの生物としてみなし,そのゲノム情報を解析することにより培養できない微生物に関する情報を得る,メタゲノム解析が行われている.
(中略)
しかし,メタゲノム解析では,特定の微生物ゲノムの情報を得ることは困難である.また存在量の多い微生物の配列が優先して出てくるという問題がある.
これらの問題を解決する最も良い方法は,1細胞を分離し,その細胞のゲノムを増幅してシークエンスをすることである.遺伝子の増幅方法といえばPCRだが,ゲノム全部を増幅する最も有効な方法はMDA(isothermal multiple displacement amplification)法である.MDA法はφ29ファージのDNAポリメラーゼが高い伸長性と強い鎖置換能を有していることを利用したものである.
[バイオインフォマティクス]複雑系としてのシステム生物学
システム生物学という言葉ほど眉唾なものはない.その定義として「これまでの生物学は個々のタンパク質や遺伝子といったパーツの研究であったが,今後はそれらを総合的に捉え,システムとして生命を研究する新しい学問」という文句をしばしば耳にするが,こんな定義は,生物学を作りあげてきた偉大な,今は亡き研究者たちへの侮辱である.生理学などにおける積み重ねを知らない無知な研究者ほど,システム生物学と言って騒いでいる.
ヘルシンキで開かれた酵母の国際会議The 25th International Specialised Symposium on Yeasts1)でこう言い切ったのは,米国バークレー,分子科学研究所のRoger Brentである.
(中略)
世の中からみれば彼こそシステム生物学者であるため,ことさらにインパクトのある講演だった.
[ナノテクノロジー]部品からの脱却〜捕らえた分子を「ねじる」〜
ナノマシンの分野が飛躍的に発展するためには,複雑な動きを実現するためのブレイクスルーが必要となるのは明らかである.しかし現状では,スライド運動や回転運動などの「ナノマシンの実現に役立つかもしれない基本的な分子部品」しか報告されていない.一方,アゾベンゼン,フェロセン,亜鉛ポルフィリンの3成分を結合することによって,光によって駆動する「分子ピンセット」が実現することが報告された.
[組織工学]生体組織の再生誘導能を高める細胞の人工ニッチの創製
再生体因子と細胞外マトリックスとからなる,細胞の増殖,分化を制御するための周辺局所環境は"生物学的ニッチ"と呼ばれている.細胞の増殖,分化能力を促すことによって生体組織の再生を誘導し,病気を治療しようという再生誘導治療(再生医療)では,この周辺環境の設定がきわめて大切である.すなわち,人工ニッチの創製である.
(中略)
今回,上皮細胞の分化にかかわっているNotchシグナルパスウェイの関連分子を組み込んだ人工ニッチの報告がされた.
[タンパク質工学]標的特異的結合タンパク質の創出〜抗体をまね,抗体を超える
タンパク質工学を志す研究者は,抗体以外の骨格構造にも着目してきた.特にコンビナトリアルなライブラリーからの試験管内選択が可能になってきたことから,最近10年間でさまざまなタンパク質の基本フォールド(Scaffold)を,分子認識の素子として用いる可能性が模索されてきている.

(C) YODOSHA CO., LTD. All Rights Reserved.
羊土社ホームページへ