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最新号(10月20日発行)
2006年11-12月号
(Vol.6 No.6)
定価 2,625円(税込)
バイテクノロジージャーナル最新号詳細

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目次
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特許戦略で失敗しないためのバイオ研究実践ガイド
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特許戦略で失敗しないためのバイオ研究実践ガイド
【監修/山本貴史,本田圭子】

第4回 トランスレーショナルリサーチ 〜特許出願後の創薬ストラテジー・・・川上浩司
することになる.当該試験物の安全性と有効性の評価のためには,いわゆるトランスレーショナルリサーチ(TR)と総称される前臨床研究,非臨床試験,そして臨床試験というステップを経る必要がある.早期の臨床試験,とくにPhase II およびPhase I 前期までは探索医療ともいわれ,実用化・市販をめざしての承認を得るためのPhase II 後期およびPhase III(検証型臨床試験)へとバトンを渡していくことを目標とすることが多い.今回は,わが国で医薬品候補物質を応用化するためのトランスレーショナルリサーチの道のりとその実施に際して準備すべきことを解説しよう.

●日本におけるトランスレーショナルリサーチの道のり

[Case]

A教授は,特許を出願した新規化合物が医薬品となりえると考え,どのように研究開発をすすめていくべきか悩んでいる.

[Answer]

医薬品候補物質の研究開発のためには,前臨床研究を行いながら必要な非臨床試験の準備と臨床試験の準備を行っていく必要がある.しかしながら,非臨床試験や臨床試験には高額の資金が必要であり,その歳入源や法制度の理解,海外をも含めた開発戦略をよく考えた事業モデルを組み立てることが望ましい.事業モデルを策定せずに悠長に手探りの研究開発を行ってしまうと,せっかく取得した特許も保護期間が切れてしまう(通常,臨床試験だけでも5〜10年程度かかる).

●臨床試験の準備と環境整備にはなにが必要か?

[Case]

新規化合物の開発に際して,A教授は公的研究費を獲得して医師主導治験として臨床試験を行おうと考えている.そのためにはどのような準備をすればよいのだろうか.

[Answer]

臨床試験を治験に則って実施するためには,被験者の安全を第一に考えて,医薬品候補物質を一定の基準(Good Manufacturing Practice:GMP)にて製造し,被験者への投与の安全性の確認と用法・用量の設定のために必要な毒性・薬物動態などの動物実験のデータを得るための非臨床試験も一定の基準(Good Laboratory Practice:GLP)にて行う必要がある.これらの整備と臨床試験のプロトコルが作成され,実施機関での倫理委員会での承認を経てはじめてGCP(Good Clinical Practice)基準での臨床試験が施行できる.

コラム

カナダの産学連携事情・・・足立一男
カナダはアメリカに比べるとバイ・ドール法もなく経済市場も約10分の1ですが,テクノロジートランスファーはどの大学でも10年ほど前から盛んです.例えば,アルバータ大学のように日本ではあまり知られていない大学でも過去11年の累積でロイヤルテイー収入が約30億円,スピンオフベンチャーを71社作り(上場7社),大学の持ち株が約40億円分あります.このうち約半分が発明者に還元されますので励みにもなっていると思います.しかしこういう大学と発明者の収入は地域の経済からみると小さく,インパクトがあるのはスピンオフへの投資で,その合計は1千億円を下らないと思います.卒業生の雇用も大学にとっては大きなファクターです.そこで大学と地方自治体が協力して研究者の知的財産を元に新しい地域経済を作り上げていくというのが最近のトレンドです.

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