キャッスルマン病(Castleman's disease)

1956年にCastlemanによって胸腺腫類似の縦隔リンパ節過形成として報告された.リンパ節の組織学的所見からヒアリン化血管と血管内皮細胞の増殖を伴う著しい血管新生の見られるヒアリン血管型(hyaline vascular type)と形質細胞の濾胞間隙への浸潤が見られる形質細胞型(plasma cell type)に大別される.後者はリンパ節からのIL-6の過剰産生により病態が形成される.腫大リンパ節の分布により限局されたものと全身に認められるmulticentric Castleman's disease(MCD)とに分けられる.形質細胞型の主な症状は食欲不振,体重減少,倦怠感であり,検査異常としては貧血,高γ-グロブリン血症,CRP高値,赤沈の亢進,低アルブミン血症,血小板増多,タンパク尿やさまざまな自己抗体の出現を認める.AIDS患者に合併することもしばしば報告されている.本疾患の原因は不明な点が多いが1つの原因としてHHV-8/KSHVの感染が強く示唆されている.ヒアリン血管型の病因は不明である.

1989年に患者リンパ濾胞で大量のIL-6が分泌されていることが見出され,特徴的な発熱,肝脾腫,食欲不振,および倦怠感などの臨床症状,並びに,高γグログリン血症,貧血,C反応性蛋白高値,および赤血球沈降速度の上昇などの検査値異常は,IL-6の作用に起因する.

バイオテクノロジージャーナル 2006年7-8月号 Vol.6 No.4

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