エピジェネティクスとは,ゲノムに書かれた遺伝子情報を変更することなく,クロマチンへの後天的な修飾により遺伝子発現が制御される現象の総称である.エピジェネティックな遺伝子発現制御においては,DNAメチル化,ヒストンの化学修飾,クロマチンリモデリング因子,各種RNAなどが協調して機能する.
語源は1942年にWaddington CHが発生学分野で使用した「epigenesis」であり,その意味は「発生分化はプログラムに従って進み,後戻りはしない」というものであった.最近のiPS技術がこの常識を覆して後戻り(初期化)が可能であることを示したことは記憶に新しい.