レジデントノート:神経救急!さあ、次に何をする?〜限られた情報から何を想定し、どのような行動を選択するか、よく遭遇する10の症候・症例から身につけよう!
レジデントノート 2019年3月号 Vol.20 No.18

神経救急!さあ、次に何をする?

限られた情報から何を想定し、どのような行動を選択するか、よく遭遇する10の症候・症例から身につけよう!

  • 中森知毅/編
  • 2019年02月12日発行
  • B5判
  • 178ページ
  • ISBN 978-4-7581-1622-0
  • 定価:2,000円+税
  • 在庫:あり
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特集にあたって

特集にあたって

中森知毅
(横浜労災病院 救命救急センター 救急災害医療部)

医療に求められる標準的,かつダイナミックなアプローチ

私が大学を卒業した約30年前,医学は細分化が進み,「医師は専門分化された科のspecialistをめざすのが当然」という雰囲気に満ちていました.そのころ,救急医学はまだ完全に他科から独立した分野として国内に広まったとは言い切れない時代でした.当時は各専門分野,つまり内科,外科,整形外科などのなかに,急性期対応が必要な状態があり,「患者が救急室に来院すると各科の専門家が救急室に呼ばれ,専門家の知識や技術を発揮しあって対応することが救急である」という認識がありました.すでに「神経救急」という言葉はありましたが,その分野の先達が集まる会に行くと,脳神経外科医や神経内科医が,頭部外傷,脳卒中などについてそれぞれの立場で意見を交わしており,各科で共同して対応すべき状態があることは理解されつつも,横断的に標準化した考え方を構築していくには至っていませんでした.

その後,時代が進み,将来の専門分野にかかわらず,総合診療力の高い医師の養成が必要であるという認識のもと,2004年度から医師臨床研修制度が見直されました.ほぼ同じころ,急性期対応を求める患者に,その重症度にかかわらず対応するER型救急という救急外来の運営のしかたが広がるようになりました.すなわち医療のなかで,既存の科,疾病を中心とした時代から症候を重視する文化が戻り,診療科の枠をこえた横断的な診方と,どのように行動して患者の状態を安定化し治療すべき疾患に迫るかという標準的,かつダイナミックなアプローチを身に付けることをめざす時代になってきたのです.

ダイナミックなアプローチの標準化が遅れる神経症候

このような文化のなかで,頻度の高い症候(common symptom)のいくつかについては,診方や対応に関するガイドラインやマニュアル,あるいは臨床予測ルール(clinical prediction rules)が次々と発表されるようになりました.しかし神経症候に関してはどうでしょうか.ほかの分野に比べて,ダイナミックなアプローチの標準化が遅れている感を否めません.私は,神経内科医としての修行をはじめたころ,諸先輩から,「神経診察を身に付けるには少なくとも2年間,診察技術の優れた師について学ぶ必要がある」と教わりました.画像診断が発達し,書籍が増え,インターネットの動画などでも知識を拡げることができるようになった現在では,修行の時間は多少短縮できるかもしれませんが,診察技術の習得に時間がかかることは今でも変わりません.このことは神経学の魅力でもあるのですが,救急外来で症候に出会うたびに次にどのように行動すべきなのかを迷っていては,患者の状態急変を招いてしまったり,他の救急患者への対処にも影響が出たりしてしまいます.

神経救急症候の行動マニュアル

今回羊土社の編集者から神経救急に関する特集を組みたい,とお話をいただいたとき,神経救急領域の症候について,単なるマニュアルではなく,初期研修医がどのような診察や検査を行い,次にどのような行動をとらなければならないのか,を示す「ERでの神経救急症候についての行動マニュアル」をめざした特集をつくりたいと考えました.今回は,「意識障害」,「失神」,「けいれん」,「頭痛」,「めまい」,「四肢の麻痺」,「四肢の感覚障害」,「脳卒中」,「頭部外傷」,「髄膜炎・脳炎」について,普段からこれらの症候・疾患に接し,その後の対応を熟知している執筆者を選考させていただきました. ERで神経症候にファーストタッチすることの多い初期研修医の皆さんのお役に立つことができれば幸せです.

著者プロフィール

中森知毅 Tomoki Nakamori
横浜労災病院 救命救急センター 救急災害医療部
医学博士
臨床医学の修行を,神経内科からはじめ,10年後に救急医学に転向しました.神経症候のなかには,救急外来で遭遇するものがたくさんあります.少なくとも,そのなかのいくつかは「神経症候」と称するよりは「一般症候」と表現したほうがよいように感じる時勢になったと思いますが,これらの症候は,どことなくまだ特殊性を感じさせ,「とりつきづらさ」の余韻を残しているようにも思います.今回の特集で,これらの症候がより身近なものになれば幸いです.

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