レジデントノート:検査を病棟で上手に使おう!〜ルーチン検査を使った症候ごとの確定診断の進め方
レジデントノート 2019年4月号 Vol.21 No.1

検査を病棟で上手に使おう!

ルーチン検査を使った症候ごとの確定診断の進め方

  • 原田 洸,西村義人,大塚文男/編
  • 2019年03月08日発行
  • B5判
  • 170ページ
  • ISBN 978-4-7581-1623-7
  • 定価:2,200円(本体2,000円+税)
  • 在庫:あり
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特集にあたって

特集にあたって

原田 洸1),西村義人1,2),大塚文男1)
(1 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・総合内科学,2 厚生労働省 大臣官房国際課)

はじめに

さあ皆さん,4月から新年度を迎え,今は新しい病院での初期臨床研修や専門医研修のスタートに際し,期待に胸を膨らませている頃でしょうか? あるいは慣れてきた病棟でこれまでの経験を活かし,知識とスキルの向上に努力しながら,後輩の新人医師たちの手本やリーダーとして教育魂も芽ばえてきた時期ではないでしょうか? さて,そのような新年度にふさわしい,病棟で役立つ臨床検査を中心に特集を組む機会をいただきました.

臨床検査はすべての診療科にとって欠かすことのできないものであり,実際に初期研修医も自分で選んでオーダーを出し,その結果を読む機会が多いと思います.ただ,「よく考えず,とりあえず検査をオーダーしてしまう…」「検査を出しても,結果を診療に活かせていない…」という悩みをよく伺います.そこで,皆さんが検査を考えてオーダーし,その結果を診療に活かすことができるようになる特集を企画いたしました.本特集では,鑑別診断をふまえて無駄なくオーダーし,スマートにその結果を解釈できるコツを,総合内科・総合診療の若手リーダーたち,そして内分泌専門医に執筆してもらいました.

本特集の内容とそのねらい

本特集では,病棟で頻度の高い検査を取りあげています.

1) 【総論】病棟でよく使う臨床検査を選び出す!

まず,入院時によく使う検査の“選び方”や結果の“読み方”・診療への“活かし方”を中心に研修医の実践に直結する内容をまとめました.“選び方”として,不要な検査をしないための基本からはいり,“活かし方”として,市中病院で遭遇しやすい感染症を例に,一般的な臨床検査のオーダーとその解釈を学んでいただきます.

2) 【各論1】病棟でよく診る症候をもとに,検査を組み立てる

各論では,病棟でよく診る“症候”ごとに行うべき検査を挙げて,検査の感度や特異度を活かした鑑別診断の狭め方や,治療への活かし方,研修医が間違いやすいピットフォールを解説しました.担当患者さんの急な発熱や意識障害,酸素化障害(SpO2低下)などで病棟から呼ばれたらどう対応するか? 担当患者さんに検査値異常として,腎機能障害や貧血が認められた場合どうするか? 鑑別診断を行いながら,それぞれの検査の感度・特異度を考慮して,検査から治療へと活かすポイントを重視しました.

3) 【各論2】内分泌疾患を見逃さないための検査のコツ

さらに,検査を組み立てるうえで,研修医泣かせな症候として不定愁訴があります.不定愁訴では,問題となる臓器や疾患がわかりづらく,どのような検査をすべきか難渋します.特に研修医にわかりにくい内分泌検査について,私のサブスペシャリティとして肝入りの,この【各論2】を特集し私の信頼するジェネラルマインドをもった内分泌専門医に解説いただきました.研修医が出会う可能性の高い内分泌関連の症候から選りすぐり,高カルシウム血症のような電解質異常が引き起こす悪心・嘔吐,臨床で出会う頻度の高い甲状腺疾患が関連する動悸・頻脈,そして…ともすればクリーゼとして生命の危機にかかわる副腎不全にみられるような倦怠感を事例として,難しいと思われがちな内分泌検査についてわかりやすく説明しました.

本特集は,若手医師たちの病棟バイブルとして,きっと役立つと思います.臨床検査はすべての科の医師にとっての必須アイテムです.スマートに使いこなせれば臨床がさらに充実します.本書を読み,臨床の現場で検査がもっと身近に感じられる瞬間を実感してください.

編者を代表して  大塚文男

著者プロフィール

原田 洸 Ko Harada
岡山大学病院 総合内科
2016年に岡山大学を卒業し,同大学病院で初期研修.研修中にECFMG certificateを取得.現在は内科専門医の後期研修を行う傍ら,臨床研究論文の執筆や東南アジアでの医療活動に情熱を燃やしています.今回はレジデントノートの愛読者の1人として,読者に近い目線から編集に携わらせていただきました.皆様のお役にたてば嬉しいです.

西村義人 Yoshito Nishimura
厚生労働省 大臣官房国際課
岡山大学病院 総合内科
岡山大学卒業.同大学で初期研修中にECFMG certificate取得,USMLE STEP3合格.G20保健大臣会合の企画立案・国際保健に関する業務を行いつつ,総合内科医としての現場に立てることに喜びを感じています.
臨床家,研究者,行政職,幅広い視野をもった深い人間になれるよう日々,目の前の課題に取り組んでいます.

大塚文男 Fumio Otsuka
岡山大学病院 総合内科教授・検査部長・副病院長
岡山大学病院では,「向きあう・つながる・ひろがる」“Facing your face, facing our community, facing the world”をモットーに,学生・初期研修医・レジデントと指導医がしっかりとした屋根瓦形式でチームとなり,臨床スキルを研鑽しています.また,大学院と研修が両立できるARTプログラムもあり,アカデミックに研究力を備えた研修も可能です.総合内科・総合診療に興味ある皆さん,是非,岡山大学病院・総合内科へ見学にお越しください!

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