レジデントノート:外科研修がはじまった!〜栄養管理、疼痛・感染対策、外傷対応など初期研修中に会得しておきたい外科的素養
レジデントノート 2020年12月号 Vol.22 No.13

外科研修がはじまった!

栄養管理、疼痛・感染対策、外傷対応など初期研修中に会得しておきたい外科的素養

  • 今村清隆/編
  • 2020年11月10日発行
  • B5判
  • 162ページ
  • ISBN 978-4-7581-1653-4
  • 定価:2,200円(本体2,000円+税)
  • 在庫:あり
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特集にあたって

特集にあたって

今村清隆
(手稲渓仁会病院 外科 主任医長)

初期研修の目的とは?

初期研修医が受けている初期研修の目的とは何でしょうか? 多様な患者背景を考慮して治療にあたれるように,医学部を卒業後すぐに専門教育を受けることでは得られないGeneralな視点を身につけることだと思います.ほかにも,後期専門研修や生涯教育のための礎を築くことがあげられます.

2020年度から再び外科研修が必修化されました.そこで本特集は,将来,外科だけでなく,どの科に進む方にとっても役に立つような,初期研修中に必ず身につけていただきたいことを意識して編集を行いました.

初期研修のゴール 〜3つのS

私が考える初期研修のゴールは,「3つのS」です.

  • ① 学びの「習」慣を身につける
  • ② 情報「収」集能力を磨く
  • ③ 後期専門研修(攻撃力重視)に入る前に「守」備力(栄養,感染,疼痛,救急)を徹底する

この「3つのS」を軸に,本特集の内容を組み立てました.

はじめに,学びの習慣をどのように身につけるかと,学んだことをいかに活用するかについて取り上げます.早いうちに学びの習慣を身につけることが成功の鍵となるでしょう.最初に,ロールモデルとして私の恩師でもある岸田明博先生に登場いただきます.その後,初期研修中に身につけておくべき学びの習慣およびその実践や情報収集の工夫について,さまざまな経験を交えて紹介します.普段なかなか聞くことができない話をしていただき,「どうやって医師として生きていくのがよいのか」という指針を示せればと考えています.

次に,外科医の視点から,栄養,感染,疼痛,急変対応についてご解説いただきます.外傷についても,必ず携わることがあると思い加えました.具体的な症例を出しながら,またエビデンスも踏まえながら,実際の考え方や外科的な視点を共有することが狙いです.

最後に,手術参加前の準備,術後回診など上記以外に研修医のかかわる外科業務のポイントに触れています.

外科研修の見どころ

思い返すと,私が初期研修をしていた15年前には,3カ月間の外科研修が必修でした.医学部卒業時には内科を志望していましたが,外科研修期間に手術を基点にドラマチックな出会いが次々と起こるのを目の当たりにして,外科になりたいと思うようになりました.外科医になってからも,もちろん嫌になるような合併症も経験しますが,それでも手術によって劇的によくなるのを目にすると,また続けてよかったと思えます.

外科研修中は,日々の採血結果だけでなく,手術を前にして不安でいっぱいだった患者さんが,無事に手術が終わると別人のように朗らかになって退院する姿を見てください.外科医にとって,うまくいったときの達成感が頑張った自分へのご褒美です.外科を選択すれば現実的にはさまざまな葛藤もあるでしょう.成長のためには没頭する時期も必要です.私は最初に,外科医にとって必要なものは,“気概”と習いました.手先の器用さや,解剖の三次元的理解,そんなものは後からついてきます.これを読んでいる多くの方は外科になるわけではないと思いますが,私自身が教わったことをここに記しました.そうすればひょっとすると読者の何名かは外科を考慮してくれるかもしれません.今回の特集が皆様の初期研修のみならず,今後の指針となることを心から祈っています.

著者プロフィール

今村清隆 Kiyotaka Imamura
手稲渓仁会病院 外科 主任医長
専門:消化器外科
オンライン学習が進んだことで,自らの所属施設や地域を超えて,優れた教育機会を求める(授ける)ことが当たり前になってきました.価値観を共有する仲間を増やすことと質の高い内容を効率的に伝えることができる方法を探求することが目下の課題です.ともに新しい時代を切り拓きましょう.

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