レジデントノート:循環作動薬 病態に応じた使いどころ・使いこなし方 〜救急・ICUでの緊急病態に的確に対応するための処方の根拠・考え方と投与のポイントを教えます
レジデントノート 2026年3月号 Vol.27 No.18

循環作動薬 病態に応じた使いどころ・使いこなし方

救急・ICUでの緊急病態に的確に対応するための処方の根拠・考え方と投与のポイントを教えます

  • 松本丈雄/編
  • 2026年02月10日発行
  • B5判
  • 170ページ
  • ISBN 978-4-7581-2748-6
  • 2,750(本体2,500円+税)
  • 在庫:予約受付中

特集にあたって

特集にあたって

松本丈雄

 

ガイドラインだけでは戦えない!?

本特集を企画するにあたり,私がはじめてレジデントノートに執筆したときの特集『敗血症診療 その“一晩”を乗り越える』(2021年12月号)1)を久しぶりに開きました.編集者であり,私の恩師でもある髙場章宏先生が冒頭で「EGDT(early-goal-directed therapy,早期目標指向型治療)が敗血症の予後を改善しなかった」という解説をし,それに関して以下のようにコメントされていました.

「この10年ではっきりしたこと,それは,① ショックの臨床症状は複雑・曖昧であり,単一の指標を用いて治療介入するのは困難である,② 敗血症は異質性の高い症候群でありEGDTのような画一的な治療ではうまくいかないこともある」

思い返すと,当時の私はこの言葉の意味をあまり理解していませんでした.当時はJ-SSCG 2020(日本版敗血症診療ガイドライン2020),SSCG 2021(Surviving Sepsis Campaign:international guidelines for management of sepsis and septic shock 2021)が出た頃で,「なんてわかりやすいガイドラインなんだ! これさえあれば敗血症は怖くない!」と感動しながら私は勉強しました.しかし,敗血症を含む,さまざまな重症患者さんを何人も対応し,一筋縄では治療できないことも増えてきた頃にやっと私は気づきます.

「こんな複雑な状態はガイドラインには載ってない!!!」

当然のことながらガイドラインはあくまで道筋であり,それだけで診療が完結しないことは多々あります.特に複雑な病態や重症の患者さんは,背景疾患への理解や循環生理などさまざまな知識が必要です.不勉強な私は「敗血症=ノルアドレナリン」,「心不全=ドブタミン」のように,疾患と治療が1:1対応の知識しかなかったため,複雑な病態に全く太刀打ちできなかったのです.この壁にぶつかってから複数の指標を引き出しとしてもち,患者さんごとに個別の治療を行う重要性を少しずつ認識しはじめました.これらを実践していくにはさまざまな「なぜ?」を考える必要があり,少しずつですが集中治療室での診療が変わっていきました.

 

本特集の目的と目標

本特集は,過去の私のようになぜその治療を行うのか? という壁にぶつかる先生方の助けとなることを目的とします.まず循環作動薬を使用するときに必要な知識として【基礎編】ショックって何? 血圧はどのように決まる?」「心拍出量はどのように決まる?」でショックの定義やその管理方法,心拍出量を規定する因子について解説します.その後【実践編】として,症例をベースに臨床現場でどのように薬剤を導入し,どのように終了していくか?という点を解説していきます.実践編では,なぜその薬剤を使用するのか?という点を深堀りすることでシンプルな病態から複雑な病態まで幅広く対応できるようになることを目標とします.また,使用法も処方例や指示簿の例などできるだけ臨床に沿って示すことで明日からでも現場で使えるように留意しました.

 

これからも大事にしたいこと

本特集でテーマにあげた項目は,私が上級医や後輩とディスカッションするなかで出てきた臨床疑問ばかりです.近年,生成AIの進歩で医学情報検索は飛躍的に進歩しましたが,どんなに技術が進歩してもベッドサイドで「臨床疑問を見つけること」の重要性は変わらないように思います.自分自身もこの姿勢を大事にするとともに,さまざまな先生と日々ディスカッションをしながら臨床が行える,恵まれた環境をありがたく思います.またこの機会に,私とともに本特集の作成に携わっていただいた先生方に心から感謝いたします.

 

引用文献

1) 特集「敗血症診療 その“一晩”を乗り越える」(髙場章宏/編)〔2021年12月号〕.レジデントノート,23:2072-2148, 2021

 

著者プロフィール

松本丈雄(Takeo Matsumoto)
広島大学大学院 医系科学研究科 救急集中治療医学
医師10年目の節目を迎え,中山間地での勤務義務などを経て,先日大学病院へ戻ってきました.この10年で経験したことを基に,次の10年で何ができるか?を日々模索中です.救急と集中治療に興味がある方は,広島でお待ちしております.ぜひ一度見学にお越しください.

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