レジデントノート:心電図を診療に活かしきる! 〜症候と問診から注目すべき波形と判読後のアクションがわかる
レジデントノート 2026年9月号 Vol.28 No.9

心電図を診療に活かしきる!

症候と問診から注目すべき波形と判読後のアクションがわかる

  • 水上 暁/編
  • 2026年08月10日発行
  • B5判
  • 162ページ
  • ISBN 978-4-7581-2757-8
  • 2,750(本体2,500円+税)
  • 在庫:あり

特集にあたって

特集にあたって

水上 暁

 

1 “読める”だけじゃもったいない! 心電図は臨床に活かしてこそ

心電図は,医学生の頃からくり返し学び,臨床現場に出てからも最も身近に接する検査の1つです.ベッドサイドで短時間に施行でき,患者さんへの侵襲も少なく,それでいて不整脈,虚血,心筋症,電解質異常など,多岐にわたる病態に関する重要な情報を与えてくれます.そのため,心電図を正しく読み解く力は,研修医を含めたすべての医師にとって,非常に有用な臨床能力といえるでしょう.

近年,心電図検定の普及とともに,心電図学習への関心は大きく高まっています.学生時代から心電図検定に挑戦する人も増え,以前と比べて心電図所見そのものを正確に読みとることのできる研修医や若手医師は,確実に増えているのではないでしょうか.心電図に興味をもつ人が増えることで,近年志す医師数の減少が危惧されている循環器内科に興味をもつ人も増えるきっかけになることが期待されています.実際に私も医学生時代,当時の循環器内科准教授の先生が定期的に開催してくださっていた心電図勉強会が楽しくて循環器内科に興味をもち,それがきっかけとなって循環器内科医,不整脈医を志しました.

心臓は数十億個の心筋細胞から構成されますが,個々の細胞においては,さまざまなイオンチャネルを介して脱分極および再分極が起こり,その結果として心筋細胞の協調した収縮および弛緩が起こります.心筋細胞が形成した活動電位は心臓内に伝播し,その電気活動の総和が心電図の波形として記録されます.12誘導心電図を用いて多方面からその活動を細かく評価することによって,心臓のさまざまな部位における心筋細胞の状態を評価し,患者さんの病状理解につなげることが可能です.非常に簡便で古典的な低侵襲の検査でありながら,最新の高価な画像検査でも得られない多くの情報をわれわれに与えてくれる,循環器診療には必要不可欠な検査ですが,判読力と活用力が問われる検査でもあります.

複雑な心電図の所見が正確に読み解けると,それだけでも満足感が得られますが,実臨床においては,心電図所見を実際の診療に結びつけ,患者さんのメリットにつなげることができれば,医師として大きな喜びが得られます.ほかの医学的知識・技術にも同様のことが言えますが,われわれの仕事の目標は患者さんの健康そして幸福に貢献することですので,それに活かしてこそ,その知識・技術が本当の意味をもってきます.

例えば,胸痛を主訴に来院された患者さんの心電図から鑑別疾患を絞り込み,どのような考え方をもとにどのような追加検査を行い,診断・治療に結び付けるか.心房細動を正確に診断することで,脳梗塞予防のための抗凝固療法やリズムコントロール戦略につなげていくか.あるいは,失神患者の心電図から致死性不整脈の可能性を見抜き,次にどのような検査や治療へ進めるべきか.臨床の現場において,心電図は単独で完結する知識ではなく,患者さんの病態理解と診療方針の決定につながってはじめて,その真価を発揮します

 

2 本特集のねらい
〜心電図を臨床実践につなげる力を身につける!

本特集「心電図を診療に活かしきる!」は,まさにそのような心電図と臨床の結びつきを研修医の先生方にも感じていただきたいとの期待から企画しました.筆者の先生方には,心電図の所見を読み解き,特に救急外来などの臨床現場において,「その所見から,次に何を考え,どのように行動するのか」という臨床的視点を重視した執筆をお願いしました.研修医の先生方が,日常診療で遭遇しやすい場面を想定しながら,診断・鑑別・追加検査・治療方針の決定へとつながる実践的な考え方を,各分野の第一線で活躍されている先生方にわかりやすく解説していただきました.

本特集が,心電図を「読める」だけで終わらせず,「臨床で活かせる」力へと発展させる一助となり,日々の循環器診療に自信と楽しさをもたらす契機となれば幸いです.そして,心電図という検査の魅力を,循環器内科の魅力をあらためて実感していただければ,編集者としてこれに勝る喜びはありません.

 

Profile
水上 暁(Akira Mizukami)
亀田総合病院 循環器内科 部長
南房総の美しい海と自由な風土に魅せられて初期研修医として亀田総合病院へ入職し,いつの間にか循環器内科の共同管理者,不整脈治療の責任者に.
心電図や心臓電気生理学的検査の所見をもとに,個々の心臓の電気的活動およびその問題点を想定し,治療に活かすことに最も喜びを感じる循環器および不整脈の専門医.心電図は循環器内科の入り口!

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症候と問診から注目すべき波形と判読後のアクションがわかる

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