春の研修医応援企画ドリル祭り2021

頻尿を自覚し,排尿時痛を生じていた10歳代女性1

症例

10歳代後半の女性.2日前に頻尿を自覚し,昨日から排尿時痛を生じていたが,我慢していた.今朝になって急な悪寒戦慄があり,38.5℃に発熱していたため両親に連れられ救急外来を受診した.これまで既往歴はなく,アレルギー歴もない.

来院時の自覚症状は寒気のみであった.血圧128/72 mmHg,脈拍90回/分,呼吸数は20回/分,酸素投与なしでSpO2 97%であった.身体診察では左背部に叩打痛があるが,その他に異常所見はない.腎盂腎炎を疑い,尿培養および血液培養2セットを採取のうえ入院加療を行うことにした.あなたが入院担当となり救急外来に到着すると,すでに救急医がセフトリアキソンの点滴静注を開始していた.

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解答

Escherichia coli

「隙間」が莢膜のように見えることがある

図11では視野の中心に白血球があり,その周囲にはグラム陰性桿菌が多数確認できます.グラム陰性桿菌は,やや短いものがいますが,標準的なサイズです.若年女性の急性腎盂腎炎を疑う病歴から,このグラム陰性桿菌はEscherichia coliと推定します.

菌体の周囲が透明に(白く)抜けており,これがあたかも莢膜のように見えるため,Klebsiella spp.と推定してしまうかもしれません.しかしこれは莢膜ではなく「隙間」です.スライドガラスへの検体塗抹後の乾燥によって,菌と周囲のタンパク質が収縮してしまうことがあり,それによってできた「隙間」があたかも莢膜のように見えることがあるのです.

(2021/09/21公開)

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