画像診断Q&A

レジデントノート 2013年10月号掲載
【解答・解説】発熱,呼吸困難を訴える60歳代女性

Answer

ペニシリン耐性肺炎球菌肺炎(PRSP)の1例

  • A1:右肺の広範な浸潤陰影.やや右肺の容積減少がある.
  • A2:重症の市中肺炎.特に肺炎球菌肺炎を考える.喀痰のグラム染色と培養,血液培養を行い,尿中肺炎球菌抗原,レジオネラ抗原の検査をする.
  • A3:ICU管理を要する病態に準じて抗菌薬を選択して治療する.

解説

本症例は,経過から重症の市中肺炎と考えるべきであろう.胸部X線写真では右肺全体に広範な浸潤陰影()が広がり右上葉と右下葉に強く,その周囲にすりガラス状陰影()が広がっている(図1).胸部CT像(図2)でその様子がよくわかる.やや右肺の容積減少がみられるのは,広範な肺炎のための右肺の換気の悪化や器質化などによるものであろう.

頻呼吸で重症の低酸素血症があるため,日本呼吸器学会による肺炎の重症度分類;A-DROP(2点)やイギリスでの重症度分類;CURB-65(2点)では低スコアであったがICU入室に準じた治療の適応と考えて対応してよい.重症の肺炎であり,レジオネラ肺炎やオウム病も考えながら病歴聴取した(温泉・水の使用,鳥の飼育歴など)が,そのような経歴はなかった.咳嗽が少なくマイコプラズマ肺炎は考えづらいが,もちろん混合感染を考えて検査をしておく.基礎となる呼吸器疾患がなく,現在は大酒家などでないため,緑膿菌,クレブシエラ肺炎は考えづらく,重症の肺炎球菌肺炎を考えた.諸種検査を行い,重症度や混合感染を考慮してメロペネム(Meropenem:MEPM)3 g/日,とレボフロキサシン(levofloxacin:LVFX)500 mg/日を併用した.その後,喀痰のグラム染色では見つからなかったが,尿中肺炎球菌抗原が陽性(レジオネラ抗原陰性),血液培養は2セットともペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae:PRSP)が陽性,喀痰培養でもPRSPが陽性となった.治療による改善は遅く,第12病日でようやくCRPが1桁になり,TPも6.0 g/dL以上となった.肺炎の器質化,遷延化が疑われ,ステロイドも併用して改善し,第40病日で軽快退院となった.

図1 来院時胸部X線写真
図2 来院時胸部CT像

クリックして拡大

プロフィール

山口 哲生(Tetsuo Yamaguchi)
JR東京総合病院呼吸器内科
サイドメニュー開く

TOP