画像診断Q&A

レジデントノート 2014年2月号掲載
【解答・解説】発熱と全身倦怠感を訴える40歳代女性

Answer

呼吸器症状があとから出現したオウム病の1例

  • A1:右上と左下のすりガラス陰影(図1図2),心陰影の拡大(図1),両側肋骨横隔膜角の鈍化(図1,少量の胸水貯留の疑い)が認められる.
  • A2:オウム病,レジオネラ肺炎などを疑って鳥の飼育歴や水接触歴などを細かく聴取する.尿中の各種抗原検査や血中抗体の検査などを行う.
  • A3:マクロライドやテトラサイクリンによる治療.

解説

胸部正面X線像(図1)および胸部CT像(図2)では右上肺野と左下肺野のすりガラス~浸潤陰影を呈する肺炎像であるが,本症例の特異な点は①病初期には発熱と倦怠感が主体で咳嗽・喀痰などの呼吸器症状が乏しかったこと,②好中球の増加はあるが白血球の増加程度が少ないこと,③心膜摩擦音が聴取されたことなどがあげられる.40歳代と若年であり,非定型肺炎を考えるところであるが,咳嗽があまり強くないことからマイコプラズマ肺炎は考えづらい.尿中の肺炎球菌抗原,レジオネラ抗原は陰性であった.クラミジアニューモニエ肺炎は高齢者に多く,重症な例は少ないといわれる.鳥の飼育歴を聴取したところ,1月に生後1カ月のオカメインコの雛を2羽購入したが1羽は不活発でクシャミをしていたとのことで,オウム病肺炎を強く疑った.その後判明した血中抗体価はマイコプラズマ4倍,オウム病128倍,寒冷凝集反応16倍でありオウム病と確診した.心電図上Ⅱ,Ⅲの陰性T波,terminal T のinversion,V1 ~ V4 の陰性T波,ⅡのST低下が認められ,心エコー上では,少量の心嚢液が貯留して左室駆出率が52%とやや低下しており原病による心筋心膜炎の合併,心不全と考えられた.

オウム病はChlamydia psittaciによる人畜共通感染症で,人においては肺炎を呈することが一般的であるが,発病はインフルエンザ様に突然の悪寒・発熱・頭痛などではじまり呼吸器症状に乏しいという特徴がある.本症例は典型例である.適切な治療が遅れるとときに重症化して,心臓,神経,血液,消化器,腎臓などにも障害を起こし得ることが知られている.

治療はテトラサイクリン,マクロライド,ニューキノロンなどが使用される.本症例では当初mPSL 125mgを1日投与し,その後FOM(ホスホマイシン)2g+塩酸ドキシサイクリン100mg/日の併用で改善して(図3)第11病日で退院した.インコの雛は患者が退院した翌日に死亡した.オウム病のためであろう.

図1 来院時胸部X 線像
図2 来院時胸部CT 像
図3 治療後胸部陰影と心拡大の減少:胸部X 線像

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文献

  1. 仁藤裕子ほか:Fosfomycin, Doxycycline, Prednisoloneの併用が著効した心筋心膜炎合併のオウム病の1例.交通医学,37:171-175, 1997

プロフィール

山口 哲生(Tetsuo Yamaguchi)
JR 東京総合病院呼吸器内科
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