画像診断Q&A

レジデントノート 2014年4月号掲載
【解答・解説】呼吸困難と発熱を主訴とした70歳代男性

Answer

尿中抗原陰性の劇症レジオネラ(Legionella)肺炎の一例

  • A1:右側の中下肺野に広範なすりガラス陰影が認められる(図1).胸部CT像でレジオネラ肺炎に特徴的な所見がある(図2).温泉,プール使用歴と胸部CT所見からレジオネラ肺炎を強く疑った.
  • A2:喀痰ヒメネス染色.Legionella抗体価測定.喀痰LAMP法検査.
  • A3:キノロン薬による治療.

解説

急激に発症した重症の市中肺炎であり,プールや温泉の使用歴があればレジオネラ肺炎は十分考えられる(Legionellaの潜伏期間は数日〜10日とされる).レジオネラ肺炎の胸部CT像所見は,「比較的広範に広がるすりガラス陰影内に,区域性あるいは亜区域性の広がりをもつ気管支血管束周囲の斑状浸潤陰影」が全体の2/3を占め本肺炎に特徴的な画像とされている.また葉性あるいは区域性の比較的均一な浸潤影を示すものが残りの1/3を占めるとされている.本症例は特徴的な前者の陰影がみられる(図2).インフルエンザや尿中肺炎球菌抗原が陰性であり,一般細菌と抗酸菌の喀痰塗抹と培養,血液培養も陰性であった.尿中Legionella抗原はLegionella Pneumophilaの血清群Ⅰしか検出できずにそのほかのものが陰性となるため,レジオネラ肺炎全体での感度は43〜59%にとどまる.そのため喀痰ヒメネス染色(迅速診断),喀痰培養,BALF(bronchoalveolar lavage fluid:気管支肺胞洗浄法)培養,血中抗体価測定などが補助的に用いられるが,前3者の感度は高くない.また血中抗体価は結果判明までに日数を要する.本症例の血中抗体価は入院翌日(発熱後10日目)に,1,024倍と高値であり,レジオネラ肺炎と診断した(厳密には1回の上昇だけで確定診断とすることは危険でペア血清での増加あるいは減少をみるべきとされている).

最近では喀痰中Legionella属を広範に診断する核酸増幅法検査として,LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法がキット化されて300点で保険収載されている(すべてのLegionella属において感度95.5%).また,LC EMA-qPCR法(生菌由来DNAを選択的に検出するが検査に2日間を要する.保険未収載)もある.

レジオネラ肺炎は適正な抗菌薬が使用されても病態が悪化することがあることは知られている.治療の基本はキノロン薬であり,本症例は当初LVFX(レボフロキサシン) 1日1回,1回500mgを用いて治療を開始したが悪化し,ステロイド,人工呼吸管理などを経て改善した.

図1 入院時胸部単純X線正面写真
図2 胸部CT所見(肺野像)

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プロフィール

山口 哲生(Tetsuo Yamaguchi)
JR東京総合病院呼吸器内科
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