画像診断Q&A

レジデントノート 2014年11月号掲載
【解答・解説】突然の腰痛.何を考えますか?

Answer

結節性硬化症

  • A1:左腎血管筋脂肪腫の破裂
  • A2:結節性硬化症(tuberous sclerosis complex)

両腎は高度に腫大し,内部に脂肪濃度の腫瘍が多発している(図1C).健常な腎実質には萎縮と変形が認められる(図1).血管筋脂肪腫(angiomyolipoma:AML)の所見である.左腎下極寄りでは腫瘍内部および腎被膜下に単純CTで高吸収(図1B)が認められ,急性期の血腫と考えられる.造影CTでは同部に造影剤の血管外漏出(extravasation,図1D)がみられ,活動性の出血が示唆される.
本例はその後血管造影が行われ(図2),塞栓術が施行された.

解説

結節性硬化症は,母斑症(神経皮膚症候群)の1つで,脳,眼球,心,肺,肝,腎,皮膚など多様な臓器に過誤腫をきたすことを特徴とする.常染色体優性遺伝であり,古典的には精神遅滞,てんかん発作,顔面の血管線維腫が結節性硬化症の三主徴とされていたが,検査技術の進歩によりこの疾患の多彩な症状が明らかになるにつれ,これら三主徴が必ずしも高頻度/特異的ではないと考えられるようになった.

腎病変は結節性硬化症のなかで3番目に頻度の高い病変であり,結節性硬化症患者の80%以上に何らかの腎病変が認められる.腎病変のうち血管筋脂肪腫の頻度が最も高く,年齢とともに有病率も増加する.また,病変自体も増大傾向を示すことが多く,しばしば破裂して出血をきたし急激な腰痛を生ずる.

腎血管筋脂肪腫の多くは巨視的な脂肪を含み,通常は鑑別に苦慮することは少ないが,脂肪の少ない血管筋脂肪腫(fat poor AML)やepithelioid AMLなどでは腎細胞癌との鑑別が問題となることがある.これらの鑑別については成書を参照されたい.

なお,本例では偶発所見として心筋内に脂肪浸潤(cardiac fat-containing lesion,図3)や,腰椎骨硬化性変化(osseous lesion,図4)が認められた.これらも結節性硬化症にしばしば合併する病変であるので参考までに呈示する.

図1 受診時腹部CT
図2 左腎動脈血管造影
図3 心筋内脂肪浸潤(腹部造影CT)
図4 腰椎骨硬化性変化(腹部造影CT)

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<症例のポイント>

腎血管筋脂肪腫はしばしば出血をきたし,腎出血の原因として重要である.両側に多発する腎血管筋脂肪腫をみたときは結節性硬化症を考慮する.

プロフィール

田村 謙太郎(Kentaro Tamura)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
陣崎 雅弘(Masahiro Jinzaki)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
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