画像診断Q&A

レジデントノート 2016年4月号掲載
【解答・解説】発熱,咳嗽を主訴とした60歳代女性

Answer

ブシラミンによる薬剤性肺炎の一例

  • A1:両側の肺門部を中心としてすりガラス影がみられる(図1 ).胸部CT像でも上葉優位にすりガラス影がみられる(図2 ).
  • A2:被疑薬に対して薬剤リンパ球刺激試験(drug lymphocyte stimulation test:DLST)を行う.気管支鏡検査を行う.
  • A3:被疑薬を中止する.呼吸不全が進行する場合はステロイドを投与する.

解説

本症例は,関節リウマチに対しブシラミン投薬中の患者に発症した肺炎である.薬剤性肺炎のほかに,日和見感染症,リウマチに伴う間質性肺炎の急性増悪を鑑別する必要がある.日和見感染症の鑑別には,ニューモシスチス肺炎や真菌感染症を鑑別するためのβ-Dグルカンやサイトメガロウイルス抗原などの血清学的検査や,気管支鏡検査による気管支洗浄液培養,細胞診,ニューモシスチスPCRの検討が必要である.リウマチ肺と薬剤性肺炎を鑑別することは難しいが,臨床経過や被疑薬による薬剤性肺炎の報告例との整合性などを検討し,総合的に診断する必要がある.

ブシラミンによる薬剤性肺炎は既報告例も多く,詳細に検討されている.高齢女性に多く,ブシラミンの投与期間が1.5〜4カ月で発症する.ブシラミンの総投与量は20 g前後で発症することが多い(本症例は13.5 g).胸部CTでは両側のすりガラス影がみられることが多く,気管支血管束に沿った索状影がみられることもある.気管支肺胞洗浄液ではリンパ球優位な細胞数増加がみられ,CD4/CD8は低下していることが多い.症状は薬剤中止のみで軽快する場合もあるが,ステロイド投与を必要とする場合もある.

本症例では日和見感染症を示唆する血清学的検査は陰性であり,気管支洗浄液培養,細胞診,ニューモシスチスPCRも陰性であった.気管支肺胞洗浄液の総細胞数は8.0×105 /mLと増加しており,細胞分画ではマクロファージ57%,リンパ球35%,好中球8%とリンパ球増加を認めた.CD4/CD8は0.43と低下していた.ブシラミンに対するDLSTは210%と陽性であり,ブシラミン休薬のみで軽快した.臨床経過,被疑薬による薬剤性肺炎の報告例との整合性から典型的なブシラミンによる薬剤性肺炎と診断した.リウマチ治療薬の多くがこのように薬剤性肺炎を起こす可能性があることを銘記する必要がある.

図1 来院時胸部X 線像 図2 来院時胸部CT 像

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文献

  1. 松島秀和,他:ブシラミンによる薬剤性肺炎の1例.日呼吸会誌,39: 55-59, 2001

プロフィール

芳賀高浩(Takahiro Haga)
日産厚生会玉川病院 呼吸器科
山口哲生(Tetsuo Yamaguchi)
新宿海上ビル診療所
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