画像診断Q&A

レジデントノート 2018年7月号掲載
【解答・解説】発熱,側腹部痛を主訴に搬送された中年女性

Answer

気腫性腎盂腎炎

  • A1 :腹部単純X線,および腹部単純CTで右腎周囲腔に進展するガスと膿瘍を認める(図1, 図2, 図3).腹腔内には遊離ガス貯留を認めない.右腎実質,腎盂,腎杯の形態は確認できない.
  • A2 :気腫性腎盂腎炎と診断できる.治療方針としては抗菌薬,ドレナージ,腎摘出術などが考えられる.気腫性腎盂腎炎は,腎実質や腎周囲に感染した細菌がグルコースをもとにガス(二酸化炭素)を産生する比較的稀な壊死性尿路感染症である.

解説

気腫性腎盂腎炎の発症リスクとして,糖尿病,女性,アルコール多飲,難治性尿路感染症,神経因性膀胱,下部尿路狭窄などがある.最も主要なリスク因子は糖尿病であるといわれており,気腫性腎盂腎炎の80%以上が糖尿病罹患患者と報告されている1).また男女比は約1:6と圧倒的に女性に多く,ほとんどの患者が60歳以上の高齢者である.本症例は糖尿病の既往がある中年女性であり,典型的な症例といえる.

気腫性腎盂腎炎の臨床症状としてはほとんどの患者が発熱,側腹部痛,腹痛,嘔気・嘔吐を訴える.これらの症状は突然認めることもあれば,2~3週間かけて徐々に顕著になることもある.主な起因菌はEscherichia coli(約60~70%)とKlebsiella pneumoniae(約20%)であり,致死率は21%に達するとの報告もあるため,見逃すことのできない疾患の1つである.

気腫性腎盂腎炎の診断は腹部単純X線や腹部単純CTで行われる.画像検査にて50~85%の症例で腎実質や腎周囲のガス貯留を認める(図2).

Huangらは気腫性腎盂腎炎の画像所見における分類を提唱した(Class1:ガスが腎盂・腎杯内にとどまる.Class2:ガスが腎実質内にとどまり,腎外への進展を伴わない.Class3A:ガスおよび膿瘍が腎周囲に進展.Class3B:ガスおよび膿瘍が腎周囲腔に進展.Class4:両側または単腎に気腫性の変化が認められる).Huangらの分類およびリスク因子(糖尿病,血小板減少,急性腎不全,意識レベル低下,ショック状態)の数に応じて治療方針を決定する2)

Class1やClass2では,腎温存をめざして通常の尿路感染症と同等の抗菌薬による内科的治療および経皮的膿瘍ドレナージを行う.コントロールが不良なClass3やClass4の症例では腎摘出術を考慮する.ガスや膿瘍が腎周囲に広がり,腎の形態が保たれていない場合は迅速な対応が必要となる2).本症例はガスや膿瘍が腎の周囲腔に波及したClass3Bであり,腎摘出術を行った.

図1
図2
図3
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文献

  1. Grupper M, et al:Emphysematous cystitis:illustrative case report and review of the literature. Medicine(Baltimore),86:47-53, 2007
  2. Huang JJ & Tseng CC:Emphysematous pyelonephritis:clinicoradiological classification, management, prognosis, and pathogenesis. Arch Intern Med, 160:797-805, 2000

プロフィール

安原大貴(Hirotaka Yasuhara)
岡山大学病院 卒後臨床研修センター
内藤宏道(Hiromichi Naito)
岡山大学病院 高度救命救急センター
中尾篤典(Atsunori Nakao)
岡山大学病院 高度救命救急センター
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