画像診断Q&A

レジデントノート 2021年11月号掲載
【解答・解説】脱力と失神で来院した10歳代男性

ある1年目の研修医の診断

病歴から脳震盪が考えられますので,自宅での安静を指示しようと思います.

Answer

外傷性椎骨動脈解離(traumatic vertebral artery dissection)

  • A1:左椎骨動脈の高吸収域(図1
  • A2:頭部MRI/MRA検査

解説

脳血管解離は脳梗塞の原因の2%であるが,45歳以下の若年層に限れば8~25%を占める.動脈壁を栄養する毛細血管(vasa vasorum)の破裂または内膜の裂傷を契機として長軸方向に動脈壁が解離する.競技者間の接触のあるコンタクトスポーツ(ラグビー,柔道,相撲など)以外にも,サッカー,ゴルフ,テニス,ジョギング,水泳,体操ならびにカイロプラクティックでの発症例も報告されている.これらスポーツなどによる椎骨動脈解離は,頸部の回旋による第1〜2頸椎レベルの椎骨動脈(V3 segment)での過伸展が原因と考えられている.そのため第1〜2頸椎レベルに好発する.症状は頸部痛,頭痛,嘔気・嘔吐,耳鳴,ふらつきと非特異的であり,診断されずに自然軽快している潜在的な症例も相当数あると推測されている1)

解離が内膜と中膜の間に生じた場合は内腔狭窄,中膜と外膜の間に生じた場合は動脈瘤を形成すると考えられている.急性期脳梗塞は狭窄や閉塞による低灌流よりも,偽腔からの血栓塞栓が原因で発症することがほとんどである.解離の15%は頭蓋内へ進展するとされているが,くも膜下出血を合併することもある.

血管造影では椎骨動脈に不整,狭窄,先細り,動脈瘤,あるいは血管内のflapを認める2).より非侵襲的なMRAやCTAでも類似の所見が認められるため,最近では血管造影に置き換わる検査方法として位置づけられている(図2).非造影CTでは偽腔内の急性期血腫が,高吸収域として描出されることがある図1).軽微な所見ではあるが,CTは頭部の画像検査の第一選択となることが多く,注意を払い読影すべきと考えられる.

図1
図2
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文 献

  1. Suzuki S, et al:Traumatic vertebral artery dissection in high school rugby players:A report of two cases. J Clin Neurosci, 47:137-139, 2018(PMID:29050892)
  2. Vilela P & Goulão A:Ischemic stroke:carotid and vertebral artery disease. Eur Radiol, 15:427-433, 2005(PMID:15657789)

プロフィール

井上明星(Akitoshi Inoue)
メイヨークリニック 放射線科
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